長野、愛知、岐阜で震度4(12月14日)、鹿児島で震度4(同11日)、北海道で震度5弱(11月24日)……。昨年の東日本大震災以降、全国各地で中規模の地震が頻発している中で地震保険の存在が見直されている。
これまで地震保険の加入率は低く、世帯加入率は2011年3月末で23.7%だったが、大震災後は福島県で前年同期比80%増、宮城県で48%増など新規加入者が相次ぎ、2012年3月の加入率は25%を超えると見られている。
ただ、地震保険の中身を理解している人は意外と多くないようだ。損害保険会社には、大震災以降、苦情が殺到しているという。震災で自宅の壁に数か所ヒビが入り、塀が倒壊した茨城県の50代男性が嘆く。
「建て直そうと考え、地震保険の保険金をアテにして査定を受けました。が、査定は『一部損』で、支払われたのは10数万円。これじゃ塀も直せない」
地震保険は、「地震」「津波」「噴火」を原因とする火災・損壊・埋没・流出の損害を補償するものだ。地震保険に精通する不動産コンサルティング「さくら事務所」の三上隆太郎氏が解説する。
「火災保険では、地震が原因の火災被害や家財の損壊は補償されません。地震保険はそれを補完するため、火災保険に付帯する方式で作られたので、必ず主契約となる建物や家財の火災保険とセットで契約することになります」
地震保険の対象は、住居用の建物と家財(店舗・事務所は対象外)。支払額は、火災保険で支払われる額の30~50%の範囲とされ、限度額は「建物5000万円」「家財1000万円」だ。つまり、地震保険がカバーできるのは、最大で家屋の価値の50%。保険金だけで家は再建できない。
「地震保険という名称から、“地震で壊れた家屋や家財を元通りにしてくれる”と思われがちですが、これは勘違い。『地震保険に関する法律』にあるように、あくまで〈地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする〉ものです」(三上氏)
※週刊ポスト2012年1月13・20日号