「こんな夫とは一刻も早く別れたい」――もし、あなたが日ごろそう思っているなら、年金のことも考えておくべきだ。
専業主婦の年金額は月6万6000円で、会社員のモデルケースの年金額16万6000円とは大きな差がある。しかし、2007年から離婚時の年金分割が可能になり、「夫の年金額の約半分を妻がもらえる」ようにもなった。しかし、厳密にはそうではない部分もある。
では、離婚しても年金で損しないために、知っておくべきポイントとは――
【1】夫の“合意”を必ずとれ
離婚後の年金分割にはふたつの方法がある。ひとつは、夫婦間の話し合いで、婚姻期間中に夫が納めた分の厚生年金の2分の1まで分割できる「合意分割」制度。
もうひとつは、離婚後に妻側から年金事務所に請求することで、婚姻期間中に夫が納めた分の厚生年金の2分の1が、自動的に分割される「自動分割」というもの。
「合意」も「自動」も、受給年齢に達した65才から、自分の口座に振り込まれる。一見、面倒くさい話し合いをしなくて済む「自動分割」のほうがよさそうに見えるが、
「自動分割の制度ができたのは2007年。したがって、2008年4月1日以降の婚姻期間分は自動的に分割されますが、それ以前の期間については、夫の合意をとりつける必要があるので要注意です」と社会保険労務士の北村庄吾さん。
また、離婚後2年が過ぎると分割できなくなる。離婚時の年金分割の話し合いに夫が応じないときは、家庭裁判所に手続きし、分割割合を決めてもらうことができる。
【2】離婚してもすぐにはもらえない
年金を受給できるのは原則65才から。元夫が受給できるようになっても、妻は自分が65才になるまでは分割された年金を受け取ることができない。
「無年金の期間を確認しておかないと、離婚した後、生活に困ってしまうこともあるので気をつけましょう」(前出・北村さん)
【3】自営業者には年金分割がない
自営業者が加入している国民年金は分割の対象とならない。
「それどころか、例えば夫が自営業で、妻が会社員だった場合、妻の厚生年金が分割されて、夫に渡すこともあります」(前出・北村さん)
※女性セブン2012年1月5・12日号