共和党きっての知日派であるリチャード・アーミテージ元国務副長官(66)は、超党派による対日政策提言「アーミテージ・ナイ報告書」をはじめ、日米双方で積極的に発言するなど、今なお米国の外交政策に影響力を持つ。同氏が、2012年以降の日米同盟の在り方について聞いた。
――日米関係の未来を考える時、しばしば沖縄普天間飛行場問題が俎上に載せられるが、日本政府はこの問題にどう対処するべきだと思われるか?
アーミテージ:私は普天間問題については一切コメントしないことにしている。普天間について議論しだすと、他の議論が全て止まってしまう。普天間は一つの重要なイシューではあるが、日米関係全体よりも重要な話ではない。日米間では中国の台頭や朝鮮半島の問題など、もっと大きな問題を話し合わなくてはならないと考えている。
――では、より大きな戦略的側面について聞きます。オバマ政権は最近、アジア太平洋地域への回帰という外交姿勢を鮮明にしましたが、この戦略的シフトの背景には何があるのか?
アーミテージ:一つには、ブッシュ前政権の第二期以来、北朝鮮問題を中心に、北東アジアに傾き過ぎていたアジア外交を改め、東南アジアにも軍事、経済、政治などあらゆる外交資源を振り向けて、地域全体のバランスを取ろうと考えたのだろう。二つ目には、対中外交姿勢の変化がある。
オバマ政権は当初、中国に対してソフトに関与していこうというアプローチをとっていたが、“中国とは別に友達にならなくてもいい”という姿勢に転換した。中国の影響力にかかわらず、(米国は)自分たちのやり方でアジアに関与していく、という毅然とした態度を示したのだ。
※SAPIO2012年1月11・18日号