早い時期から受け取って受給期間を延ばすのが得なのか、それとも遅い時期まで我慢して受け取り額を増やすのが得なのか――。「年金博士」として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が「最強の受給作戦」を完全指南する。
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夫並みではないにしろ、妻が定年まで厚生年金加入者として働けば、「年金リッチ夫婦」になる。
「仮に夫の平均月給が35万円、妻が25万円とすると、夫婦で毎月26.4万円の年金が得られます(厚生年金40年加入の場合)。年金だけで最低限の生活ができるので、老後のライフスタイルを優先した繰り上げ、繰り下げができる」(北村氏)
この場合、2人揃って60歳に繰り上げても毎月18.5万円の年金を得られる。生活費を年金で賄えば、元気な60代のうちに預貯金をリタイア生活に注ぎ込める。
「高齢化が進行する中では、受給総額が減ってしまう繰り上げ受給を避けるのが基本的な考えです。ただし、豊かな老後にするための“積極的な繰り上げ”ならOK。夫婦揃って“仕事派”の夫婦であれば定年後も再就職・再雇用でバリバリ働く人生もアリ。その場合は夫も妻も繰り下げという選択肢になるでしょう」(北村氏)
ちなみに、この夫婦が70歳に繰り下げると月額は37.5万円。現役サラリーマン世帯と変わらない定期収入が生涯続く。ただし、北村氏からはこんなアドバイスも。
「70歳を過ぎて月額40万円近い世帯収入が必要かといえば疑問です。使い切れない年金をもらう老後人生が、本当に幸せかどうかも考えてみてください」
※週刊ポスト2012年1月13・20日号