大晦日の午後11時50分ごろ、オウム真理教の元幹部・平田信容疑者(46)が警視庁丸の内署に出頭した。彼の容疑は、1995年2月、目黒公証役場事務長・仮谷清志さん(享年68)の拉致、殺害事件への関与。
「時がたって、気持ちにひと区切りついた」と出頭理由を述べた平田容疑者は、さらにこんな供述もしている。
「教祖の死刑は当然のこと」
「自分は松本死刑囚を観想していないし、オウムを信仰していない」
一見、松本死刑囚による洗脳は解けているかのようだが、突然の大晦日の出頭には謎が多く、「グル(導師)の呪縛はまだ解けていない」と指摘する声も多い。
そもそも、なぜいまになって出頭したのかについて、ある捜査関係者はこう話す。
「松本死刑囚の死刑執行を遅らせる狙いがある」
日本大学の板倉宏名誉教授が解説する。
「死刑執行の最終決定は法務大臣の判断にまかされています。これから始まる平田容疑者の裁判で事件がすべて明らかになるまで、法務大臣が松本死刑囚の執行をストップする可能性があります。平田容疑者の裁判は最高裁までいけば3年はかかるでしょう」
向こう10年は死刑執行凍結とまでみる専門家もいる。また、平田容疑者は、16年以上に及ぶ逃亡生活を続けていたが、これには陰の支援者の存在が囁かれている。
長期逃亡した犯罪者といえば、英国人女性・リンゼイさんを殺害した市橋達也被告(33)が記憶に新しい。彼は整形手術で顔を変え、無人島で暮らしたりするほど、あの手この手で逃亡を続けたが、それでも目撃情報が相次ぎ、事件発生から2年7か月後の2009年11月に逮捕された。
「平田容疑者は教団から1000万円の逃走資金をもらい、女性信者とともに1996年まで仙台市で潜伏していたとされますが、その後の逃亡生活は一切わかっていません。にもかかわらず、整形手術を施した様子はなく、“働いていなかった”とも供述しています。それなのに16年も逃げ続けていたわけです。洗脳が解けていたら、この時期に出頭するはずありません。背後で逃亡を助け、今回の出頭計画を描いた黒幕がいる可能性を視野にいれ、捜査を進めています」(別の捜査関係者)
※女性セブン2012年1月19・26日号