【書評】『星月夜』(伊集院静/文藝春秋/1785円)
東京湾の埋め立て地・若洲のゴルフコースで発見された二体の死体。ひとりは若い女性、いまひとりは老人で〈短髪の白髪頭(中略)女性の死体と同様に素足で、足首にロープが縛りつけてあった〉。
ベテラン捜査員の勘と最新DNA鑑定の末に判明したその身元は、日本列島を縦断する数奇な人間の絆と、数十年にわたる人の世の業をあぶり出すことになってゆく……。著者が初めて挑む推理巨編は悲しくも美しい叙情溢れる傑作となった。
※週刊ポスト2012年1月13・20日号