結局公約だった「政治主導」を達成できなかった民主党。2012年、解散総選挙が起きた場合はどうなるのか? 白鴎大学の福岡政行教授がシミュレートする。
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注目は、大阪維新の会とみんなの党連合と石原保守新党、さらに自民党をつなぐことができるキーパーソンが存在することである。石原慎太郎・東京都知事の息子である石原伸晃・自民党幹事長は大阪ダブル選前の2011年9月24日に大阪市内で橋下氏と極秘会談を行なったとされている。伸晃氏は会見でその事実を否定したが、橋下氏と通じていることは間違いないだろう。
私は、これは今後への布石ではないかと見ている。慎太郎氏も大阪市長選の最終日にわざわざ大阪に乗り込み、選挙カーの上で橋下氏と握手するパフォーマンスを見せている。
同氏は最近、「やり残したことがある。日本を変えなければ……」と周辺に国政への意欲を漏らしていると聞く。大阪での応援は総選挙で橋下氏の力を借りるためのバーターだったのではないかと私は考えている。件の会談では、伸晃氏と橋下氏がそのことを話し合ったのではないか。
加えて「小沢・亀井新党」の可能性も出て来るのだが、このような動きの中で選挙に突入すれば、永田町の地図は大きく塗り替えられるだろう。大阪維新の会とみんなの党連合に自民党が加わった連立政権が実現することになるのではないだろうか。
私は統一地方選と大阪ダブル選を取材した結果、橋下氏の勢いは一過性のものではなく、本物であると確信した。実際、各政党・政治家は、彼を敵に回すのではなく、味方に引き入れるために、秋波を送っている。
ここ20年以上にわたって、日本の政界は、「親小沢」か「反小沢」かなど、小沢氏を軸に動いてきた側面がある。だが、次の総選挙からは政界は橋下氏を軸に動き出すのではないか。
橋下氏自身が衆院選に出馬して国会議員とはならなくとも、一首長の立場で既存政党の大物たちと渡り合い、国政を左右しうる。それはつまり、小沢氏から橋下氏へ、政界 キングメーカーが入れ替わることを意味する。その意味でも、まだ大阪維新の会の「革命」の余震は続いていると言える。
橋下氏自身が市長として「大阪都」への道筋を付けた後、「次の次」の総選挙に出馬し、当選すれば「橋下政権」が誕生する可能性さえある。しかし、既存政党を利用し、国政に影響力を持とうとする橋下氏の作戦がすんなり進むかは、予断を許さない。
※SAPIO2012年1月11・18日号