オバマ政権誕生以来、失業率は一向に改善せず、2011年8月には史上初となる米国債の格下げに見舞われるなど、米国経済については暗いニュースばかりが相次ぐ。しかし、「2012年、いよいよ米国株に世紀の買いチャンスが到来する」と大胆予測するのは、海外投資の第一人者である戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)だ。最新刊『日本人が知らなかった海外投資 米国株』を上梓する戸松氏が解説する。
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たしかに米国景気はQE2(量的緩和第2弾)が終了した2011年6月以降、スローダウンしており、欧州ソブリンリスク問題も解決の糸口がなかなか見えていません。この状況下でちょっと不思議に思われるかもしれませんが、2012年上半期中には米国の株価が大きく調整して、そこが米国株に投資する未曾有の大チャンスとなる可能性があると見ています。
まず、米国株式市場には米国企業だけでなく、世界中の一流企業が集まっていることが挙げられます。たとえば、南米の楽天ともいえるアルゼンチンの「メルカドリブレ(MELI)」、インドの一休ともいうべきオンライン旅行代理店最大手の「メイクマイトリップ(MMYT)」、ロシアのグーグルといわれる「ヤンデックス(YNDX)」のほか、中国のグーグルといわれる「百度(BIDU)」や中国のトレンドマイクロである「奇虎(QIHU)」、中国のYouTubeである「優酷網(YOKU)」など、いずれも本国では上場しておらず、米国株でしか買うことのできない新興国のスター銘柄がズラリと揃っています。
いずれも新興国のネット需要拡大に伴って倍々ペースで業績を伸ばしており、現状では株価も決して安いとはいえませんが、今後大きく下落するようなことがあれば大きな投資チャンスになることは間違いないでしょう。
加えていえば、著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が永久保有銘柄とし、米国株を代表するコカ・コーラはリーマン・ショックをものともせず、業績と株価を伸ばし続け、毎年増配を繰り返しています。そのほか、マクドナルドやP&Gといった普遍的な価値を持つ国際優良銘柄が揃い、このような企業では配当利回りが3%前後あるのはザラですから、安定的な配当も望めます。
為替的にもタイミングがよくて、現在のような円高局面で米国株を仕込んでおけば、将来的に日本の財政問題が危惧されるなどして円安に転じれば、為替差益も期待できるでしょう。
そして、このような「スター銘柄の宝庫」である米国株が日本人にも身近になってきました。これまで米国株は売買手数料が高かったり、情報が少なかったり、取扱銘柄が少なかったり、とハードルの高い存在でした。しかし、ここ1年ほどで日本の大手ネット証券が積極的に取り扱うようになり、取扱銘柄が増え、リアルタイムトレードもできるなど取引環境は格段に改善されています。
ぜひ、ここは「逆転の発想」で米国株に目を向けてみるというのはいかがでしょうか。