東日本大震災発生以降、加入者が増えているという地震保険。しかし、一方で建物の構造や地域による地震発生リスクによって保険料が規定されるほか、損害の認定基準の不公平感から“無駄”だと判断する人も少なくないという。地震保険に精通する不動産コンサルティング『さくら事務所』の三上隆太郎氏は、こう説明する。
「“耐震性が高いから”という理由で地震保険に入っていないという声も聞きます。しかし、隣家が倒壊して自宅が損壊したり、近所の火事から延焼することもある。そうした周辺環境などのリスクを考える必要があると思います」
保険料は救助都道府県によって変わるが、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島が安い区分になっている。
「保険料は政府の地震調査研究推進本部が公表した“地震予測”のデータを根拠に算出されたが、今回の震災でその区分に疑問符がついた。今後、保険料区分が見直される可能性はある」(大手損保会社幹部)
地域によっては安いうちに入る選択もありそうだ。
賃貸住まいの場合、「この家は自分の持ち物ではないから地震保険は必要ない」と思いがち。しかし、火災・地震保険コンサルティング会社「ノバリ」のファイナンシャルプランナー・山崎努氏はこうアドバイスする。
「家財は損害認定基準の項目が多岐にわたっているために、建物より損壊認定されやすい。賃貸物件でも家財保険に入っていれば、被災後の引っ越し費用などが賄えるケースがある。持ち家の場合でも、建物は一部損だが家財は半損というケースは珍しくなく、その場合は建物の修理費用の不足分を家財の保険金で賄えます」
地震保険が家の再建分まで補償してくれないことは前述した通り。だが、「やはり地震で家がなくなるのは怖い」と、再建費用の補償を求める声も少なくなかった。そうした要望に応える保険を、東京海上日動火災保険が販売している。
「当社の『超保険』の特約では、通常の地震保険より保険料は高く設定していますが、地震によるものでも補償額が火災保険と同じになるよう“上乗せ”ができます」(同社広報部)
※週刊ポスト2012年1月13・20日号