2011年3月11日に起きた東日本大震災を経て、日本人の心象風景は大きく変わった。消費、対人関係、暮らし方、すべてに震災の影響が色濃く出ている。意外にも、百貨店やブランドショップでは高額な商品が売れるようになったという。
百貨店では高級時計などの宝飾品や有名ブランドの衣料品の売り場が好調。高島屋は高額品部門の売り上げが、6月から6か月連続で平均前年比4%アップした。
「高額品は通常、株価の上昇に比例して伸びるので異例です。震災直後の買い控えの反動と、“本当に欲しい物を買って心を満たしたい”と考えるお客様が増えているようです」(高島屋広報IR部)。
百貨店やブランドショップでは、震災以降、高額なバッグやアクセサリー、腕時計などがよく売れるようになった。購入層は主に30~50代の女性で、「誰かのため」ではなく「自分のため」の消費と考えられる。
絆消費と矛盾しているように見えるが、これも震災の影響だという。消費心理に詳しい駒沢女子大学人文学部教授の富田隆さんの話。
「大震災でみんなが一寸先は闇という心理になってしまいました。我慢してお金を貯めこんだところで、死んでしまったら何の役にも立たないと実感した人は多い。その結果、“欲望の見直し”が行われ、本当に欲しいモノには惜しみなくお金を払う傾向が強くなりました」
※女性セブン2012年1月19・26日号