新年早々、日本列島が揺れた。1月1日、午後2時28分ごろ、伊豆諸島・鳥島近海を震源とするM7.0の地震が発生。東北から関東地方にかけて広い範囲で震度4を観測した。
死者行方不明者1万9295人(昨年12月29日時点)を出した東日本大震災から10か月。震災直後に頻発していた大きな余震も最近では収束していたが、ここにきて再び地震が頻発している。震源は東北地方に限らない。前述の鳥島近海や遠く離れた四国や沖縄でも起きているのだ。
鳥島近海以外でも、昨年12月3日に千葉県でM5.2、その11日後の14日には岐阜県でもM5.2の地震が発生している。あちこちで頻発する地震の理由を、NPO法人・防災情報機構会長・伊藤和明氏はこう説明する。
「3.11の地震によって日本列島の地殻が東の方に最大で3.5mも引っ張られてしまいました。いまは全国規模でその強いストレスがかかっている状態。どこの断層が動いてもおかしくないんです」
では、どの地域が最も危険なのか。
「3.11の地震後の余震データを分析すると、震源域に隣接する地域で、余震が起きていない空白域が房総沖にあるのです。ここに大きなエネルギーが蓄積されているため、首都圏を巻き込んだ大地震を誘発する可能性があるのです」
そう語るのは、琉球大学名誉教授(地震地質学)の木村政昭氏だ。木村氏は体感できない微細地震が起きた場所をマークし、地震が起きていない空白域を「地震の目」と呼ぶ。大地震はこの「地震の目」で起きるというのだ。実際、東日本大震災もこの「地震の目」で起きたという。
房総沖の空白域については、これを裏づけるかのように昨年11月、政府の地震調査研究推進本部によって、首都圏を含む東日本の地震発生確率が発表された。
それによると、3.11の震源付近である三陸沖から千葉県の房総沖にかけて、M9クラスの地震が今後30年以内に起きる確率は30%。予想範囲をM6.7~M7.2まで引き下げると、その確率は90%という超高確率に跳ね上がる。ちなみに、この震源域は先の震災が起きる前の2008年から同推進本部によって危険が指摘されていたエリアで、東海地震よりもリスクは3%上だった。
さらにこんな報告もある。独立行政法人・防災科学技術研究所が昨年10月31日に発表した「房総半島沖で10月下旬から“スロー地震”が起きていた」というものだ。
「スロー地震というのは、プレートの境界が数日から数か月かけてゆっくりと滑る地殻変動のことです。これ自体は揺れを伴うものではないのですが、プレートが滑れば、プレート同士がぶつかる場所は圧迫され、大きな地震を引き起こすきっかけをつくることになってしまいます」(前出・木村氏)
プレートとは地球の表面を覆う厚さ100kmほどの岩盤のことだ。同研究所の発表によると、房総沖では、これまで約6年間隔で発生していたスロー地震が30年間の観測史上最も短い約4年の間隔で発生したという。
※女性セブン2012年1月19・26日号