サラリーマンにとって「第2の税金」といわれるのが給与から天引きされる社会保険料。では、実際の社会保険料負担はどうなっているのか。個人や法人の財政状態を保険を中心に改善するコンサルタント、財務支援研究所代表の小島宏之氏が解説する。
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日本の社会保障制度は、大きく「年金」「医療」「介護」に分かれ、年金なら厚生年金などの公的年金、医療なら健康保険、介護なら介護保険によって最低限の保障が受けられるようになっています。もちろんこれらの保障はタダではなく、所得税や住民税といった税金と同じように「社会保険料」という形で毎月の給与から天引きされています。つまり、社会保険料は「第2の税金」といえるのです。
しかし、実際には何がどれだけ引かれているかをご存じの方はあまり多くないでしょう。
それを手っ取り早く把握できるのが給与明細です。みなさんのなかには給与明細をなんとなく眺めて終わりという方もいると思いますが、実はそこには多くの情報が網羅されています。ここからはぜひ、自分で手元に給与明細を用意して読み進めてみてください。
給与明細には控除という項目があり、「厚生年金」「健康保険」「介護保険」「雇用保険」といった保険料が明記されています。
まず年金は多くのサラリーマンの場合、「厚生年金」としか記載されていませんが、国民年金と厚生年金の保険料が合算されていて、現在の保険料率は標準報酬月額(基本給や手当などを含む年収を月平均でならした金額)と標準賞与額の16.412%。
「健康保険」の保険料率は標準報酬月額の9.48%(協会けんぽ・東京都の場合)となっています。さらに、40歳以上になると「介護保険」の負担が加わり、保険料率は標準報酬月額の1.51%で、いずれも会社と従業員が折半で負担します。
一方、「雇用保険」の保険料率は業種によって異なりますが、一般事業会社の場合は会社側が0.95%、従業員側が0.6%と会社側の負担が多くなっています。これ以外に「労災保険」もありますが、全額会社負担となっています。
では、具体的にどれだけかかっているのか。
たとえば年収500万円のサラリーマン場合、500万円×(8.206%[厚生年金]+4.74%[健康保険]+0.755%[介護保険]+0.6%[雇用保険])=71万5050円となり、1か月当たり6万円近くを払っている計算となります。
※『サラリーマンのための安心税金読本』(小学館)より