国際情報

賃金が日本の1/100のミャンマー 「ベトナム並み」はかなり先

東日本大震災、ユーロ危機と多くの脅威にさらされた日本企業は、なかなか浮上のきっかけを捕めずにいる。しかし、このまま日本経済が「失われた30年」に突入してよいはずがない。大前研一氏が、日本企業が真のグローバル化を達成し、世界で活躍するための条件について、ここでは世界最適化を徹底するための方法に指摘する。

* * *
最も安く買える所で買い、最も安く作れる所で作り、最も高く売れるマーケットで売る。それが「世界最適化」である。グローバル化の目的はそれしかない。

ところが、多くの日本企業はそうなっていない。たとえば、原材料を同じ企業から30年にもわたって買っている、という具合である。しかし、世界ベースで調達を行なえば、おそらく原価は半分になるし、今はネットで集中購買を行なう世界的なサイトもいくつか登場している。

あるいは、生産拠点をミャンマーに移す。今や中国の人件費は内陸部でも実質月3万~4万円になっている。タイは2万~3万円、ベトナムは10年前から徐々に上がり、現在は1万円を超えている。

一方、ミャンマーの人件費はブルーカラーが月20~25ドル、つまり1600~2000円ほどである。日本が月20万円とすれば「100分の1」だ。企業が殺到すれば人件費は上がるが、産業基盤が整うまでには10年以上かかるだろうから、ベトナム並みの賃金になるのはかなり先だと思われる。世界の最適化のためには、常に敏感かつ冷静に世界情勢を見極める目が必要だ。

※SAPIO2012年1月11・18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン