金正日の死去により、北朝鮮の動向に注目が集まっている。万が一、中国人民解放軍が北朝鮮国内の混乱に介入しようと中朝国境を越えて南進すれば、米韓両国は黙って見ているわけにはいかないが、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「日本にもできることはたくさんある」と指摘する。
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米韓両軍は2011年3月には、北朝鮮で内戦が起きたとの想定で、極秘に軍事演習を行ないました。この作戦が実行されるとなれば、日本の米軍基地が後方基地となります。本来であれば、この作戦には自衛隊も積極的に参加し、役割を果たさなければなりません。
自衛隊が朝鮮半島に直接乗り込めば、韓国国民の強い反発を買うと思われますが、物資の輸送や燃料・食糧の補給など、後方支援として協力できることはたくさんあるはずです。そのためにも、日本政府はいますぐにでも「集団的自衛権」を明確に認め、さらに「先制攻撃」「敵基地攻撃」は、憲法上も可能であると明言しておかなければなりません。
ただし、米中の軍事的衝突が現実になることは、決して望ましいわけではありません。そうした最悪のシナリオを避けるための鍵を握っているのも、我が国です。
私は、日本政府が平時から、「韓国による朝鮮半島の自由統一を支持する」と表明し、「そのためにいかなる協力も惜しまない」との態度を明確に示すべきだと主張し続けてきました。
アジアにおいて、中国に匹敵する力を持っているのは日本をおいて他にありません。GDPでわずかに抜かれたとはいえ拮抗する経済力があります。中国が軍拡を続けているとはいえ、自衛隊は優れた装備とオペレーション能力を持っています。長距離ミサイルなどは米軍に頼らざるを得ませんが、特に海上自衛隊は優秀で、潜水艦能力では中国を引き離しています。
その「強い日本」が米国とともに韓国の後ろ楯となることを宣言すれば、中国への何よりの牽制になるとともに、国際社会への強いメッセージになります。
中国の軍事介入を抑止するためにも、日本が「韓国による朝鮮半島の自由統一」を明確に支持し、中国の北朝鮮支配には正当性がないことを国際社会に訴え続け、日米韓が団結することが極めて重要なのです。
※SAPIO2012年1月11・18日号