ライフ

吉本興業社長 身勝手な都合を臆面もなくゴリ押しするコツ

大人力コラムニスト・石原壮一郎氏の「ニュースから学ぶ大人力」。今回は「吉本社長の『紳助復帰』発言に学ぶ大人のゴリ押し力」です。

* * *  
それにしても、予想以上の早さでした。島田紳助さんが、暴力団との関係を問題視されて突然の引退を発表したのは、去年8月23日のこと。それからわずか5か月弱の今年1月4日、吉本興業の大崎洋社長が、イベントの発表記者会見で、紳助さんについて、「いつの日か吉本興業のもとに戻ってきてもらえるものだと信じております。これは私たち全社員、全タレントの思いでもあります」と発言しました。

あのとき、今思えば妙にあっさり引退させていましたが、最初から「ま、ほとぼりが冷めたら復帰させればいいし」と思っていたのかと勘ぐってしまいます。社長がそういう気でいるとわかったら、社員としては尻馬に乗っかるしかありません。所属のタレントのみなさんも、いろんな場所で競うように「復帰待望論」を語っています。

そりゃ吉本興業とすれば、超のつくドル箱である紳助さんには復帰してほしいところ。批判は承知の上で、どうにか復帰容認ムードを作ろうとするのも無理はありません。今回の吉本興業のやり方から、身勝手な都合を臆面もなくゴリ押しするコツを学びましょう。

ポイントは3つ。ひとつ目は「いつの日か~と信じている」という曖昧な言い方で、自分の願望を明らかにしつつ、反応を探ろうとしている点。かつて自分を振った女性や、ぜんぜん相手にしてもらえなかった女性に会ったら、とりあえず「いつの日か、ボクの気持ちが届くと信じているよ」と言えば、たまにはまんざらでもない反応をしてもらえるケースもありそうです。ま、あくまで「まんざらでもない反応」止まりでしょうけど。

ふたつ目は、べつに全員に確認したわけでもないのに「これは私たち全社員、全タレントの~」と勝手に大勢の味方をバックにつけている点。社員食堂のメニューから個人的に大好物だった「ハヤシライス」がなくなってしまった……といった場合は、食堂の職員さんや総務部の人に「ハヤシライスの復活は、私だけでの意見ではなく、全社員の思いです」と言ってしまいましょう。少なくとも並々ならぬ熱意は伝わります。

3つ目は、さりげなく外堀を埋めている点。浮気などが原因で奥さんに逃げられたときは、自分が必死で謝るのはもちろん、何人かの友だちに頼んで、奥さんに「ふたりには早く元通りになってほしいなあ」という“復帰待望論”を代わる代わる伝えてもらいます。もしかしたら奥さんは、元通りにならなきゃいけない気になってくれるかも。

いずれも、こうやって書いてみると、けっこう無理がある手法です。この先、吉本興業が、無理な手法をどうもっともらしく発展させていくのか。次はどんな手を打ってくるのか。楽しみに見守らせていただきましょう。不祥事の後始末でも私たちを楽しませてくれるなんて、さすが日本を代表するエンタテインメント企業ですね。

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン