依然先行き不透明な欧州危機や円高などによって、日本株は低迷を続けている。だが、元ドイツ証券副会長の武者陵司氏(武者リサーチ代表)は「日本株は今年、上昇する可能性が強い」として、こう予測する。
「最大の理由は、マーケットがかなり悲観に偏っているので、その修正が起きるということです。世界的にみても株価は著しく割安で、明らかに売られ過ぎ。特に日本株は是正される可能性が高いと見ています。
ポイントは、いつどのようなプロセスで悲観が是正されるか。最大の懸念材料は欧州発の世界恐慌への不安ですが、欧州主要国間ではユーロ崩壊を避けるためにはどんな犠牲も厭わないという姿勢が確認されており、各国の金融政策によって今年後半にも通貨危機からの脱却が展望できるのではないかと見ています。
円高も懸念材料ですが、仮に今後超円高が進んだ場合、いよいよ日銀が抜本的な金融政策の転換を迫られる局面も予想される。そうなれば金融や不動産株を中心にリバウンドが期待できます」
株式市場には「辰巳天井」という相場格言があり、辰年から巳年にかけて株価が天井圏を形成するといわれる。昇り龍の如き上昇も望めるというのだ。
ましてや2012年は、各国の大統領選挙やロンドン五輪をはじめとするスポーツなどのイベントが目白押しである。
※週刊ポスト2012年1月27日号