2011年12月31日に出頭し、16年間以上の逃亡生活にピリオドを打った元オウム真理教の幹部・平田信容疑者(46)。また、平田をかくまった元信者の斎藤明美容疑者(49)も1月10日に犯人秘匿容疑で逮捕された。
斎藤は平田を支えていたのは自分だけだと供述しているが、捜査当局は既に斎藤以外の支援者グループの存在を掴んでいる。
「不眠症に陥り、精神状態が不安定だった平田に睡眠導入剤や抗鬱剤を渡したのは奈良県に住む40代の独身女性だと見られる。彼女は現役の看護師なので、そういった薬を簡単に手に入れられる。関西には、彼女を中心に平田の逃亡生活を支援するグループが存在していた。斎藤はそのグループのメンバーの一人にすぎない」(捜査関係者)
グループの拠点が奈良にあったことを考えれば、斎藤が「私の知る限り、平田はほとんど部屋を出なかった」と供述しているにもかかわらず、平田の目撃情報が奈良県で複数、寄せられていることも不思議ではなくなる。平田が「他の人に迷惑がかかる」と頑なにこの17年間の逃亡の詳細を語らないのもまた、グループを守るためではないのか。
さらにその看護師は、精神的に参った平田のために、“金魚療法”をしたこともあったという。前出・捜査関係者が続ける。
「彼女は金魚の名産地に住んでいたこともあり、平田のケアのために、潜伏先の部屋にわざわざ水槽と金魚を数匹持ち込んだことがあった。『水槽を泳ぐ金魚を眺めたり、餌をやって世話でもさせれば、少しは心が癒やされて気も鎮まるだろう』と、支援者たちが事前に相談した上での“治療”だったようだ」
捜査当局は現在、このグループの全容解明に力を入れているというが、どんな集団だと見られているのか。
「逮捕される危険も顧みずに特別手配の平田を支援する可能性など、教団関係者以外にはありえない。彼らは表面上はオウムを脱会したものの、心中では麻原への信仰・忠誠を捨てていない『はぐれ残党』だろう。狂信的な信者ほど、結束は非常に強い。彼らの麻原への信奉は、事件後もなお健在というより、むしろ神格化が進んで強固になってきている」(別の捜査関係者)
残る特別手配犯の高橋克也、菊地直子の両容疑者は、いまだ姿を現わさない。彼らが身を潜めるに十分なほど、いまだ「はぐれ残党」たちの絆は強いのか。
※週刊ポスト2012年1月27日号