世界遺産でもある和歌山県の熊野古道にある「ナギ」の鉢物が震災後、縁起物として人気を集めている。
ナギはマキ科の常緑針葉樹で、古来からナギの葉は“災いをなぎ払う”厄除けのお守りとされたほか、海が穏やかな状態の“凪(なぎ)”に通じる平安を祈るお守りともいわれてきた。熊野古道に通じる熊野速玉大社(新宮市)ではご神木として植えられている。
和歌山県と共同開発した熊野産ナギの卸を手掛けている、花き卸の「大田花き」には、昨年3月の東日本大震災以降、注文が急増している。
「震災以降の4~12月は前年に比べて2倍以上ですね。平穏や家内安全などを目的として購入されるかたが多いです。ナギは、葉脈が縦にはいっており横には切っても切れないことから夫婦円満や縁結び、恋愛成就としても人気で、人と人を結ぶ“絆需要”にはまったケースともいえます」(大田花き・内藤育子さん)。
同社のナギの特別コーナーを設けている銀座三愛フラワーでは、ナギの鉢(2700円、写真)は2年前から取り扱いを始めて以来ロングセラー商品。月平均30個は売れ、他の生花に比べて5倍の人気で、特に年末年始は100個以上という売れ行きだ。
「恋愛成就や家内安全のほかに、お財布に葉を入れておくとお金が貯まるとして金運アップの祈願で買われるかたもいます。購入層は、若いOLさんから70代くらいのかたまでさまざま。取引先に縁起物として贈る法人のかたも」(同店を運営するマグナの三浦道太さん)
今後、ますます注目度がアップしそう。