大増税時代がやってくる。東日本大震災の「復興増税」で所得税25年間は約7.5兆円、個人住民税は10年間で約6000億円の増税となるほか、消費税の増税も必至の情勢だ。一体、どのように生活を防衛していけばよいのか、経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。
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家計においては、住宅ローンの繰り上げ返済と並んで、真っ先に検討すべきなのが「保険」の見直しだ。生命保険などは多くの人が「かけ過ぎ」「払いすぎ」の傾向が強く、必要以上に複数の保険や保障の大きい商品に加入している場合がある。一度、財産の棚卸しをして、要るもの、要らないものを整理してはどうだろうか。
公的年金が不安という理由で、個人年金保険に加入する人が増えているが、これからは「年金」という名前の付く金融商品には入らないほうがよいと私は考えている。
個人年金保険には、従来型の個人年金保険と、運用次第で将来もらえる年金額が変わる変額個人年金保険があるが、予定利率が高かった1996年までに契約した個人年金保険を除き、この低金利時代においてはどちらも運用利回りがよくない。
さらに変額個人年金保険は運用中の合計手数料が2~4%と高すぎる。1000万円を20年間運用して増減しない状態が続けば、20年後は半額の500万円程度になっているものが多いだろう。手数料だけでどんどん年金が減ってしまうような商品に、老後を安心して託せるわけがない。それなら銀行を金庫代わりにして、現金を定期預金で預けておくほうが断然いい。「年金より現金」と肝に銘じておこう。
増税には納得できなくても、税金を払うのは国民の義務であり、「税金を払わない」という裏技はない。しかし、節税はできる。年が明ければ確定申告のシーズンだが、サラリーマンもぜひ積極活用してほしい。忘れがちな医療費控除をはじめ、マイホームを買った人は住宅ローン控除、株などで損失を出した人は繰越控除など、面倒がらずに申告しよう。
※マネーポスト2012年新春号