夫婦は長年連れ添う間に、さまざまな困難に直面する。“おしどり夫婦”として知られる西川きよし(65)・ヘレン(65)夫妻には、介護の苦労があった。2001年にはヘレンの母が、2003年にはきよしの父が亡くなり、現在、ヘレンはきよしの母の介護を続けている。
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きよし:姉が3人いても、9割おまえが介護してくれた。だから、ぼくは、“ヘレンばっかりに任せておいたらあかん”って、兄姉にもはっきりいうたんです。
ヘレン:そうじゃないんです。任せてもらってやれることだってあるのよ。
きよし:そんな、おまえ、看護師さんやないんやで。
ヘレン:介護している人には、介護の手助けも必要なんですけれども、そのはけ口を聞いてくださるかたがいちばん大事なんです。聞き手がなければ、私もここまで来られなかったと思います。ここ(のど元に手を当て)までたまっているものを、口から出してしまったら、普通なら大変なことになりますけれども、それをお姉さんたちが聞いてくれて、おさまっていった。本当に赤裸々に話しました。それを全部聞いてくださったし、手伝ってくださいましたよ。
きよし:しかし、3人は大変やったなあ。
ヘレン:そやけど、3人のうちのひとりは私の母。しかも、私が嫁いだ先に寄せてもろうてるんですからね。それなのに、西川の家族は実の親子のようにしてくださって、だから私も母も構えることなく、甘えていました。あなただって、母のおむつを替えてくれた。
きよし:おまえが、うちの両親によくしてくれるから、ぼくらも自然とできたことや。そんな姿を見てるから、3人の子供たち、ふたりの嫁も、家にいればよく看てくれる。それにまだ小さいけど、いまは孫たちが、よくおふくろと遊んでくれている。
ヘレン:昔の言葉で“仕える”いうたら、えらいおかしいですけれども、隠し事はしない、自分の家族だと思う、そんな気持ちで毎日いてたことがお互いいい循環になっていたんだと思います。それから、何か問題が起こったときは、あなたがきちんと話を聞いてくれた。
きよし:そうや。ぼくはいうたら、いまの裁判員制度の裁判員や。みんなの話を聞いて、おまえのお母さんでも、親父でも間違ったことや無理をいっていたら、“それは間違いや”って、はっきりいうた。
ヘレン:何かあればすぐに電話しましたね。あとで思えば仕事中でもかまわずに(笑い)。
きよし:それでもちゃんと電話に出たやろ。大家族でうまく暮らすには必要なことやったと思う。
※女性セブン2012年1月19・26日号