手っ取り早く「収入」を増やすなら副業にチャレンジだ。中高年にはハードルが高いと思えるかもしれないが、いまや20~30代のサラリーマンの5人に1人は副業をしている。サラリーマンも二足、三足のわらじを履く時代になっている。
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多くの企業で副業は禁止されてきたが、2008年秋のリーマン・ショックを機に状況は一変。給与やボーナスの頭打ちや減少を補うため、副業を認める会社が増えている。この流れはますます強くなるだろう。
「本業だけでも体力的にきついのにバイトなんかとてもできない」というサラリーマンは多いだろうが、副業といっても様々。かつてはアルバイトといえば深夜の肉体労働のイメージが強かったが、今ではサラリーマンの経験や技術を活かせる職種もいろいろある。
かつて正社員がやっていたようなデスクワークが人件費の圧縮によってアウトソーシングされるようになったり、ネットの普及でバイトを発注したい人と受けたい人がマッチングしやすくなったりしている。
『会社を辞めずに月10万円! 副業・内職 トラの巻』(ぱる出版刊)の著者で、サラリーマンの副業事情に詳しいネットピコ代表の中野貴利人氏がいう。
「経験豊富なサラリーマンが重宝される副業は数多い。例えばセミナー講師は社会経験の少ない学生やフリーターには向かない仕事です。また、レンタル倉庫の場所探しにも普段の仕事で培った交渉術が活きます。サラリーマンのほうが仕事への責任感が強く、依頼しやすいという面もある」
今後一押しの副業が「個人技術の提供」だ。仲介サイトの『GIGマーケット』には、「5万円でプリント基板の設計・製造します」というものから、「5000円でツイッターのフォロワー8000人にアナタのお声を代弁します」というものまで多種多様な“広告”がある。
「このサイトの良いところは、趣味や特技だけではなく、自分の本業を活かしやすいこと。『あなたの企画書をチェックします』など、アイデア次第で何でも仕事にできます。依頼者が多くなれば本業以上に稼ぐことも夢ではない。だから複数の仲介サイトに技術や知識をできるだけ多く書き込んでおくことをお勧めします」(中野氏)
そうした求職や宣伝が誰でもほとんどコストをかけずにできる時代になったことを知っているか、いないかで差は大きい。
※週刊ポスト2012年1月27日号