国内

創価学会本部のある場所はかつて東京最大のスラムだった

創価学会という宗教団体と池田大作というカリスマ指導者に迫った週刊ポストの連載『化城の人』。ノンフィクション作家の佐野眞一氏は、現在、創価学会本部があるエリアの歴史についてこう書いている。(文中敬称略)

* * *
明治三十二(一八九九)年に出版された横山源之助の『日本の下層社会』(岩波文庫)は、東京の三大貧民窟として、四谷鮫河橋、芝新網町、下谷万年町をあげている。

下谷万年町は現在の台東区北上野一丁目界隈、芝新網町は現在のJR浜松町駅に隣接した世界貿易センター南側、JRの線路に沿った一帯である。

東京の三大貧民窟中最大のスラムは、四谷鮫河橋だった。

四谷鮫河橋の地名はもうないが、このスラムは現在の四ツ谷駅から赤坂に向かう外堀通りに面した広大な一画にあった。

迎賓館(赤坂離宮)の右手のスロープに沿って歩くと、学習院初等科の校舎が見えてくる。さらにその坂を東宮御所を左手に見て下って行くと権田原交差点に突き当たる。

そこから西はJR信濃町駅、東は新宿区若葉にかけた広大な一帯が、かつての四谷鮫河橋スラムである。地名でいえば現在の新宿区南元町一帯である。このエリアには創価学会本部、公明党本部の建物がすっぽり包摂されている。

設立当初、大多数が経済的に恵まれていない階層が会員だった創価学会の本部が、かつて東京最大のスラムだった四谷鮫河橋に建てられている。

いま、ここにかつてのスラムの面影はまったくない。街路樹が美しい街並みは広々として、むしろ庶民が住めないハイクラスなイメージを醸しだしている。その落差が却って歴史の皮肉を感じさせる。

※週刊ポスト2012年1月27日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン