夫婦のかたちはさまざまだが、“おしどり夫婦”として知られる西川きよし(65)・ヘレン(65)夫妻に、現在までの道のりを振り返ってもらった。
――これまでけんかの思い出は?
きよし:ぼくが仕事がなくて、おまえが忙しかった新婚時代は、自分でも男のくせに嫉妬なんかして女々しいとはわかっていたけど、けんかしたなあ。
ヘレン:私がショックを受けたのは、まだ結婚するかしないかという時期だったと思います。私がテレビ局からいただいた台本が、朝起きたら破って捨ててあった。
きよし:覚えてる。当時人気だった『スチャラカ社員』という番組の台本や。仕事辞めてほしかったんや。おれの収入で生活ができないのかっていう怒り。もちろん数字を見たら、できませんわ(笑い)。
ヘレン:でも、本当のことをいえば、破られたことで、この人はほんとに私を思ってくれてる、人間として私を大事にしてくれてるってわかって、うれしかった。
――お互いに家族、家庭を大切にしていますが、それぞれに浮気は?
きよし:ヘレンがしてたら、すごいわ。市場に行って、お店のおじさんと、みたいな(笑い)。それにひきかえぼくらは全国いろいろなところに行くし、電話でうそをつくこともできるし…。
ヘレン:これだけ思い思われて一緒になっても、やっぱり男はね(笑い)。
きよし:これはな、うちの窓からは同じ景色しか見えないけども、沖縄や北海道のホテルに泊まると、日ごろ見えないロケーションがあるんですよ。浮気をしてはいけないのは、世の男性はみんな重々わかってると思いますよ(笑い)。
ヘレン:ええ、ええ。そういえば、家に見慣れない鍵があって、“これはどこのですか”“ああ、テレビ局のロッカーの鍵や”“そうですか。忘れたらいけませんよ”って、渡していた。疑うことはありませんでした。でも、あるとき現場に乗り込んだことがあったでしょ。あのときにはショックを受けました。覚えてます?
きよし:そうそう。知らないのはぼくだけで。よーし、今日はうまくうそついたし、ってカノジョのところへ車で向かっていたら、変な一団がついてくる。よーく見たら3人の親と3人の姉とみんな一緒に、変装してついてきていた(笑い)。
ヘレン:西川の家族はいつでもみんな私の味方。だから、私も隠しません。でも、私、怒りもしなかったし、責めもしなかったでしょう。ただ、悲しかったです。36年前のことでしたね。
きよし:おまえには申し訳ないけれども、芸人は宵越しの金を持たないとか、浮気も芸の肥やしだとか、芸人の女房は黙ってついてくるんや、という最後の年代なんや。
ヘレン:でも、見直しはできました。浮気をされるということは、私にも何か原因があるんじゃないかって。
きよし:こういうことをいわれるから、悪いなっていうのが二乗、三乗になるんです。芸人の女房として、浮気も許す、そんな昔ながらの教えを丸呑みにしてくれていたし。
ヘレン:いいえ。あなたは芸名も政治家としての名前も『西川きよし』ですけれども、私は本名の『西川潔』と一緒になっているのであって、芸人の奥さんとか議員の家内じゃなしに、つねに西川“本名”潔の家内です。
きよし:“生まれ変わったら誰と結婚しますか”ってよく聞くでしょ。ぼくはもちろん、ヘレンしか考えられない。
ヘレン:私も、生まれ変わっても西川潔の妻になります。
※女性セブン2012年1月19・26日号