日本人の個人金融資産は約1500兆円。現状では貯蓄に余裕がある家庭は多いが、だからこそ、「0.02%」という超低金利の銀行預金に寝かせておくのではなく、今のうちに資産の一部を10倍増、100倍増を見込める「一攫千金投資」に回すことも一考の余地がある。
通常の資産運用なら、株投資も魅力的だが、一攫千金を目指すなら誰も手を出したがらないものに投資する勇気が必要。いわゆる「逆張り」投資である。
世界中の投資家が逃げ出している投資先といえば、重債務が問題になっているEU加盟国の国債だ。ギリシャを始め、イタリア、スペイン、ポルトガルの国債は、破綻のリスクが高まったことから売りまくられ、実質利回りは信じられないほど高くなっている。
今年年初のギリシャ国債10年物の利回りは約35%、2年物で約130%、1年物にいたっては約360%に上昇した。ちなみに日本国債10年物の利回りが約1%、米国債は約2%。
たしかに国家破綻してしまえばすべて紙くず。だが、もしあとしばらく破綻を免れれば、それらへの投資はボロ儲けだ。
償還を半年後に控えたギリシャ国債1年物(利回り約360%)に100万円を投資して、利息と償還を受けられれば、利益は約180万円。利回り130%の2年物だと、100万円の投資がたった1年の保有で元本合わせて230万円と倍以上になる。
ギリシャほどではないにせよ、イタリア国債(10年物)の利回りは約7%、スペイン国債は約6%と、日本や米国債に比べて、はるかに高利回り。
購入方法はどうなのか。
「外国債は金融機関同士の相対取引が基本なので、個人投資家が直接購入するのは難しい。しかし、国内大手や欧州系証券会社で依頼すれば購入は可能です。自社で引き受けた国債の在庫があれば、すぐに購入できます。
ユーロ危機以来、在庫を持たない証券会社が多く、ただちに買えるケースは稀でしょうが、その場合でも“売り物が出たら買いたい”と注文を出しておけば買えるはずです」(真壁昭夫・信州大学経済学部教授)
昨年末、ギリシャ政府やイタリア政府は、今年の早い時期に個人投資家に国債を直接販売する方針を打ち出した。実現すれば日本の個人投資家もそれらの外国債が買いやすくなるだろう。
目端の利く投資家は既に手を打っている。著名投資家のジョージ・ソロス氏が率いるファンドは、昨年末、約20億ドル(約1550億円)規模のイタリア国債を中心とする欧州国債を購入したと報じられた。ユーロ危機の長期化を睨みつつ、十分な収益が得られると判断したようだ。
※週刊ポスト2012年1月27日号