グラビアアイドル、いわゆる“グラドル”の業界が危機に瀕している。出演する番組やグラビア雑誌の減少によって登場機会は少なくなり、加えて、AKB48を筆頭としたユニットアイドルが隆盛を極める中、単体のグラドルは絶滅寸前といっても過言ではない状況だ。
グラドル中心のプロダクションを経営する社長は、その実状を次のように語る。
「いまに始まったことじゃないんですが、まず写真集やDVDが売れなくなりました。グラドル系のDVDは、1000本売れればヒット、3000本売れれば大ヒットですね。写真集はコストがかかるということで、もう、AKBなどの限られたアイドルしか出すことができません。グラビア系の事務所は、ファンの人たちから会費を徴収して行う、タレントの撮影会でなんとかやっている状態です」
その一方で、写真集やDVDが飛ぶように売れている人たちがいる。一般的には無名と言っていい、カリスマコスプレーヤーと呼ばれる人たちだ。
数年前から、コスプレ専門誌や、各地の撮影会などで引っ張りだこのカリスマコスプレーヤーはいた。自らが制作したCD写真集などを通信販売で売り、お小遣い以上の金額を売り上げる人は少なくなかったが、ここにきてそのマーケットは拡大しつつある。
以前は、年2回行なわれる『コミックマーケット』(通称「コミケ」)ぐらいしか、作品を世に知らしめる展示即売会はなかったが、現在は、『コスホリック』や『コスプレギャラリー!』といった、コスプレ専門の大規模展示即売会が年数回開催されるようになり、直接ユーザーへ販売する機会が急増。
そうしたイベントでは、本人がコスプレをして手売りをすることが基本となるため、多くのファンが詰めかけ、1日で数百枚を売り上げることも珍しくない。その結果、年間では数千枚の単位の売上げを誇るカリスマコスプレーヤーも存在する。
CD写真集やDVDなどは、パソコンを使えばほぼ自前で制作できるため、1枚の販売価格は500円から1500円程度と安いものの、利益は大きい。多少の知名度があるグラドルよりも、その収入ははるかに多くなるだろう。
こうした状況を反映して、カリスマコスプレーヤーの中には、『うしじまいい肉』のように、グラドルとして活動するケースも出てきている。今年は、彼女たちの雄姿を、さまざまなメディアで見かけることが増えるだろう。