なぜ今、男も女も結婚できないのか。「婚活」の裏側をルポした『婚活したらすごかった』(新潮新書)の著者、石神賢介氏に結婚できない男女の実態を聞いた。(聞き手=ノンフィクション・ライター・神田憲行)
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石神賢介氏は1962年生まれのバツイチのフリーライターで、「石神」は婚活用のペンネームである。話し方は穏やかで優しそうな風貌。でも背はそんなに高くなく、お腹もしっかり出ている普通の「おじさん」である。
――婚活で何人くらいの女性と出会いましたか。
石神:いまも婚活中なんですが、6年間で100人くらいですかね。お付き合いまでしたのは15人くらい。普通のOLさんからCA、銀座のホステスさん、声優さん、フリーアナウンサー……歳は24歳から40代まで。いちばん長く付き合ったのは、30代後半の巨乳のバツイチOLさんかな? それでも四ヶ月くらいしか持ちませんでしたけれど。
――本でも「凄くいい女」と付き合ったりしているのに、なぜダメなんでしょう?
石神:うーん、やっぱりセックスだけではダメだということでしょうか。巨乳のOLさんとは、ベッドの上では楽しいのですが、他の会話が続かない。テレビドラマの話ばかりされるんですけれど、こちらはまったく見ていなかったり。
仕事が忙しいと、毎週同じ番組を見るのは無理ですからねえ。世代差もあるんでしょうが、野坂昭如も大瀧詠一も知らない女性もいました。作品を知らないのではなく、名前も知らない。
――会話以外ではどんな理由がありますか。
石神:性癖もあります。CAでドMの人がいたんですが、髪の毛引っ張ったりののしったり、プレイ内容について行けませんでした……。でも、その夜は、彼女の指示にしたがって、頑張ってやりましたけれど……。
また、まったく無名ですが、声優の人もいて、彼女のアニメ声といちご模様のパンツに萎えちゃって。ベッドの上の相性って、実は難しい(笑)。
――変な話ですが、そういう女性をキープしつつ他を当たるということは出来無いんでしょうか。
石神:そういう半端な付き合い方は許してくれないんですよ、婚活女性は(笑)。結婚が前提のお付き合いですから(笑)。出会って一ヶ月で「結婚するか決めろ」と迫ってきたり、銀座のホステスさんとか凄くいい女なんですが、毎日会うことを要求される。
こちらの事情なんてお構いなしでしたから。ほかにも、伊東美咲そっくりの美人で元CAのエステティシャンさんともお付き合いしましたが、とにかく常にネガティブで、発言がすべて後ろ向きで一緒にいるとぐったりしてくる(笑)。
「自分の人生にはもう何もいいことはなさそう」みたいなことをずっと呟き続けるんです。いくら美人で魅力的な仕事してても、一緒に暮らしていくのは難しいですよね。
――でも失礼ながら普通のルックスで、40代で自由業というのは婚活のスペックとしては不利な条件ですよね。それでなぜそんなに女性とお付き合いできるのでしょうか。
石神:婚活してみてわかったんですが、婚活市場に「普通」の男性が少ないんです。普通に女性と会話できるような人なら、婚活で、いわゆる“入れ食い”になる可能性も高いかもしれませんよ。(続く)