なぜ今、男も女も結婚できないのか。「婚活」の裏側をルポした『婚活したらすごかった』(新潮新書)の著者、石神賢介氏に結婚できない男女の実態を聞いた。(聞き手=ノンフィクション・ライター・神田憲行)
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石神賢介氏は1962年生まれのバツイチ、フリーライターである。本を読んでみると、そんな普通のおじさんが婚活でなぜかオイシイ思いをしている。その理由を、石神氏は「普通の男性が少ないから」と語る。
――婚活市場で「普通の男性が少ない」とはどういうことでしょうか。
石神:婚活パーティ(男女20人ぐらいずつが前半の自己PRと後半のフリートークで相思相愛の相手を見つけるパーティ)にいくと、女性はみなさんはそれなりにオシャレな服装で、髪も整えてくるんです。中には「えっこんなところにこんな人が」と驚くような美しい人もいます。
本にも書いた銀座ホステスさんとも婚活パーティで知り合いました。ところが、男性は鼻毛が伸びていたり、ダサイ人が多い。パーティに参加していた女性に聞くと、「私が会った中ではラクビー部出身の人がすごかった」って言ってました(笑)。
お洒落しない無頼な自分を気取るみたいで、冬でも筋肉を誇示するためにポロシャツ着てたりとか。でも、当然浮いている。でもパーティに来るような人はまだマシだったりします。
――まだ「下」がいるんですか(笑)。
石神:本当にモテない人はプライドが高い傾向があるので、婚活パーティみたいな「モテない人の集まり」みたいなところには来ないんです。モテない自分を再確認するのが怖いから。
でも合コンに誘えば必ず来る。しかも、そこで自分の会社と上司の話ばかりだから、女性うけは良くない。偏差値の高い大学出て一部上場企業に勤めていてスペックは婚活市場でも人気があるはずなんですが、会話とか服装にあまりにも無頓着で、うまくいかない。
――特徴的なところがありますか。
石神:ポロシャツやTシャツがスラックス・インとか。で七五三の子供みたいな七三分けの髪型とか(笑)。特別な理由もなく、実家で暮らしているとか。
40を過ぎていまだに母親の手料理食べてパンツ洗ってもらっていると聞くと、女性側はマザコンとかいろんな想像をしてしまい、どうしてもプラスの評価は下しにくいようです。実家で親と暮らすには、それぞれ個人的な事情があるとは思うんですけれどね。
また、デートでもチェーン店の激安居酒屋を選んだりとか、300円のコーヒー代も割り勘にしたりとか。私も自分だけの食事は吉野家や餃子の王将で十分ですが、女性を誘うときは、相手の好みとか、気取らず気づかいなく話せる雰囲気のお店を考えます。
そういう気遣い、やっぱり必要だと思うんです。女性に気をつかわないことをよしとしていると、チャンスは激減します。そういう人は自己評価が高くて周囲からの評価とのとギャップがあるから、自分を変えようとも思わない。自分が変えられない人は婚活で厳しいのかなと思います。
――逆に婚活に向くタイプはありますか
石神:どんどん自分から話しかけられる人。婚活パーティが「良いな」と思うのは、レベル高そうな女の人でも周囲の目を気にせず話しかけられるところです。会社とかだと話しかけづらいづらい高嶺の花でも、「婚活パーティに来ている」という点で立場は一緒です。
またそういう高嶺の花でも、チャンスがあるのが婚活のいいところです。同じようなきれいな女性が会社にいても、なかなか声をかけるチャンスはありませんからね。そして、話すことよりも大切なのは、相手の話をきちんと聞く能力です。
女性の話がたとえつまらなくても、とりあえずは辛抱強く聞いて、要所要所で自分の意見を言える人ならば、うまくいくんじゃないでしょうか。結局のところ、よほど容姿に恵まれていたり、お金を持っていたりしない限り、男性は女性に選んでいただく立場ですから。エッチをさせていただく立場ですから。
でもねえ、言うはやすく行うはかたしで、なかなかうまくいかないものなんですよねえ(笑)。(続く)