症状に個人差はあるものの、40代~50代の女性にとって更年期障害はやっかいなもの。食生活や適度な運動など日常生活に気を配り、漢方やホルモン補充療法などで治療することが一般的だが、なかなかそれだけでは改善しない人も多い。そんなときは、隣にいる夫をチェックしてみてください。原因はまさに、そこにあるのかもしれません。
ここ最近、立っていられないほどのめまいや動悸を感じ、肌も乾燥してかゆくてたまらないと訴えるのはAさん(48才・専業主婦)だ。
「でも、この症状は夫がそばにいるときだけなんです」
50代の夫は一昨年、自動車の下請けメーカーをリストラされた。最初はふさぎ込んでいるのを見て心配したが、そのうち、以前には見向きもしなかった家庭の“些事”に口を出すようになった。
「皿の柄が統一されてない」「いつも豚肉ばかりのメニューで、おれの健康に気遣いがない」「晩酌しか楽しみがないのに、発泡酒にしたのは稼ぎがないからか」…。
「大学受験を控えた娘もいるので失業保険でやりくりしなきゃと節約したのに、夫はいいたい放題。娘は夫のイライラのとばっちりを受けて、携帯電話を没収されてしまいました」(Aさん)
「夫にまた何かいわれるんじゃないか」と思うと、Bさんの症状は悪化する。あまりにだるくて横になっていると、「主婦は気楽に休めていいよな」と夫が愚痴とも批判ともいえない言葉を浴びせる。
この他にも、『夫源病-こんなアタシに誰がした-』の著者である大阪大学大学院准教授の石蔵文信さんが「夫源病」を引き起こしやすい夫の例として、やはり定年後の“ワシも族”や“お前も族”を挙げる。
会社というコミュニティーを離れ、それまで何でもいいつけていた部下はもういない。打ち込める趣味もなく、地域社会とのかかわりも薄いため、気軽に外に出かける機会もない。
すると暇を持て余し、妻の外出に「ワシも連れていけ」とつきまとう“ワシも族”や、「お前も来い」と必ず妻を同伴しようとする“お前も族”になってしまうのだ。しかも、妻が買い物をしていると「そんな高いの買うのか」「まだ歩くのか」と文句をいう。女友達との食事にまでついてきて、つまらなさそうにして場を気まずくさせる、なんて夫も。
前出の石蔵さんはこう指摘する。
「奥さんの体調をやたら心配する夫もいますが、それは愛情ではなく口だけで、『妻がいないと食事などで困る』というのが妻にはみえみえ、という場合も。それはまた夫源病をひどくするのです」
それでは夫が原因の更年期障害に対処するためには、どうしたらよいのだろうか。
石蔵さんは、「性格は変わらなくても、行動は変えられるから」と、家事などで夫が自立することを提唱する。そして、妻にも「夫がなんといおうと忘れて」食事や旅行、さらに症状が深刻なら“一時別居”をしてでも自分の時間を持つことを勧めている。
「ストレスを軽くする訓練法のアドバイスや適切な薬の処方はもちろんしますが、いちばん大事なのは夫婦でよく話し合うこと。夫は自分が原因だと思っていませんし、指摘しても最初は認めようとしません。ときには口げんかしてぶつかり合い、互いを理解することも大切だと思います」(石蔵さん)
※女性セブン2012年2月2日号