「大阪市の解体」を掲げる大阪市の橋下徹市長は、主戦場を市役所からテレビ局に拡げて、舌鋒鋭く持論を展開している。
1月15日の『報道ステーションSUNDAY』では、橋下市政に批判的な立場をとる北海道大学大学院・山口二郎教授と対決した。橋下氏は、「(改革の)中身を全然知らない」とパンチを繰り出した後、
「少々難しくても、新しい仕組みをつくっていくのにチャレンジするのが政治家。それをワーワーワーワー無責任にいうのが学者」
とバッサリ斬り捨てた。
やや遡るが、昨年末に放送された関西ローカル番組『キャスト』では、職員労組に対する対応が乱暴だと指摘する経済評論家・森永卓郎氏にこう応じた。
「現場を知らない。コメンテーターの井戸端会議と違って、政治は権力闘争なんです。暴力的にいかなくてどうやって改革するのか」
それ以外にも、これまで名だたる評論家を“粉砕”してきた橋下氏。このバトルは、一般市民には非常に受けがいい。
「テレビで橋下さんと評論家の論争が始まると、ドキドキしながら見てしまう。結果はいつも評論家が論破され、口ごもるか、子供の喧嘩みたいな捨て台詞を吐く。橋下さんの意見はわかりやすくて説得力があり、聞いていて気持ちがいい」(50代の市民)
“橋下嫌い”の大メディアには、評論家の口を借りて何とかして橋下氏をギャフンといわせたい意図が垣間見えるが、その皮算用はことごとく外れ、逆に橋下人気に手を貸している。
そんな状況に、大阪市の労組幹部は危機感を強める。
「あの人に口喧嘩や議論では勝てへん。何とかして、市長を懐柔する対策を編み出さんとあかん」
※週刊ポスト2012年2月3日号