2010年の厚生労働省の調査によると、通院の原因トップは男女ともに「血圧が高いこと」。疾患には至らずとも、“高めの血圧”は自覚症状がないのがほとんど。血圧は気づかぬうちに高くなり、さまざまな疾病の引き金になる。そこで知っていれば予防できる血圧のQ&Aについて、東京都健康長寿医療センター・副院長の桑島巌さんに聞いた。
まず、そもそも血圧が高いとなぜよくないのだろうか?
「つねに日本人の死因の上位に位置する心臓病や脳卒中は、いずれも血圧が高いことが大きな原因のひとつ。しかも“サイレント・キラー”の別名をもつように、気づかないうちに深刻な病気に至ってしまうのが怖いのです。血圧は時間や食事、ストレスなどの影響で刻々と変わるので、家庭用血圧計で朝夕2回、継続してチェックし、数値を把握しておくことが大切です」
女性よりも男性のほうが高くなりやすいといわれるが、実際はどうか。
「女性はエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌により、血圧が高くなりすぎないよう守られているため、40代頃までは比較的安定していますが、閉経を境に男性と同じ条件になります。肥満や運動不足など、血圧を上げる要因は女性にもおおいにあります。50才頃をめどに、家庭での計測や定期検診などで血圧チェックを始めましょう」
日常からできる対策について、桑島さんはこういう。
「塩分の多い食事、肥満、喫煙、ストレスなどが、血圧を高くし、血管を弱くすることがわかっています。生活習慣というのは、長年の積み重ねですから、病気が心配になってきてから急に変えるのは意外に難しいものです。元気なうちから減塩や肥満にならない食生活に慣れ、ウォーキングなどでリフレッシュするコツを得ておくといいですね」
※女性セブン2012年2月2日号