野田佳彦首相が1月13日に行なった内閣改造では、5閣僚が入れ替わった。平野博文・文部科学相は「国会対策に失敗した」と国対委員長を“更迭”されながら、なぜか入閣した。
その平野氏は改造前日、いったんは国家公安委員長への就任が内定していた。
「平野さんは喜んで『警察を握ったらやることがいろいろある』と張り切り、内々の就任祝賀会の日程まで話していた」(親しい議員)
ところが、土壇場で文部科学相に担当を変えられた。裏には首相との駆け引きがあったと官邸筋が明かす。
「平野は鳩山内閣の官房長官時代に閣僚候補の『身体検査』を担当し、同僚議員のスキャンダル情報を握っている。無能で国対委員長は荷が重かったが、野に放って反野田に回られると厄介だから閣僚のアメをしゃぶらせるしかなかった。ただし、国家公安委員長への起用には、官僚サイドから官邸に、“警察情報を握らせるのはまずい”と忠告があってポストが変わった」
官邸内部の情報管理も問題になった。岡田克也氏の副総理就任をはじめ人事の内容がメディアにダダ漏れだったからだ。それに輿石東・幹事長が激怒した。民主党国対メンバーが語る。
「輿石さんは人事情報が事前に漏れることを一番嫌う。今回も流したのは誰かと犯人捜しをしたところ、手塚仁雄・首相補佐官が浮かんだ。しかし、手塚さんは情報漏洩しているのは別の総理側近議員だと吹聴したから、その議員が『オレには覚えがない』と怒り出して官邸の人間関係がぐちゃぐちゃになってしまった」
手塚氏は蓮舫・前行政刷新相とともに国会で暴力団関係者との交際が追及され、更迭も取り沙汰されたが、うまく立ち回って生き残った。
それがまた仲間割れを引き起こしている。
「蓮舫さんは『(暴力団関係者の席には)手塚に紹介されて出ただけなのに、どうして私だけこんな目に遭わなきゃいけないの』と自分の更迭を全く納得していない」(野田グループ議員)
※週刊ポスト2012年2月3日号