昨年、暴力団排除条例施行に合わせた警視庁の〈芸能界浄化作戦〉を、本誌は連弾でレポートした。昨年10月14日号で、その第1号案件と目されているのが東京・西麻布にある「芸能人御用達のマル秘サロン」だと報じたが、いよいよ捜査が核心に迫り、警視庁内が慌ただしくなっている。
同サロンのオーナーは不動産会社元経営者のS氏。脱税容疑で東京地検特捜部に逮捕され、100億円の負債を抱えて会社は倒産した。同サロンは差し押さえられ、東京地裁から競売開始決定を受けている。捜査関係者がいう。
「サロンが入るのはSの自宅も入居するマンション。全9室あるが競売にかけられたのは8室で、残り1室は裁判所の競売開始決定後にSの知人名義で所有権移転請求の仮登記がなされていて、一棟での落札が不可能な状態になっている。実際に競売は何度も流れており、競売妨害容疑を視野に入れた捜査が大詰めだ」
西麻布の閑静な住宅街の一画にある「サロン」は、夜ごと芸能人が集う都心の隠れ家として有名だった。常連客のひとりが明かす。
「一見したところただの高級マンションだが、中身はなんとも豪奢。3階には個室のステーキ・ダイニングがあって、4階にはバーラウンジがあり、5階にはジャグジー付きのカラオケルームまである。
屋上には六本木界隈の夜景が一望できる温水プールがあって、人目を気にせずハメを外せる場として、芸能人が頻繁に訪れていた。VIPしか通されないが、バカラ台と麻雀台が置かれた秘密の個室もあった」
よく目撃されていたのは、ともに紅白出場経験のある歌手Mと有名ボーカリストG、それに人気お笑い芸人J。3人ともS氏自身が親交の深さを周囲に吹聴していた“親友”である。他にも、人材派遣で有名な上場企業のオーナーや、有名アイドルグループの元メンバーだったAなどもサロンに招かれ、S氏と酒を酌み交わしていた。
「女性誌の人気モデルも足繁く通い、芸能人がいる時は大抵、幾人かの美女が傍らに座っていましたね。都内で花火大会があった時、屋上のプールサイドでは酒宴が開かれ、出席者は男女問わず私服のままプールにダイブしていました。まさに酒池肉林のパーティですよ」(S氏の知人)
※週刊ポスト2012年2月3日号