大阪市の橋下徹市長がこれまで批判してきた市の職員をどのように扱うかに注目が集まっている。
公務員改革に精通する木下敏之氏(前佐賀市長)が指摘する。
「自治体の長に面従腹背する職員がいるのは当然です。要は職務命令に従うのか否かを見極めれば、自ずと化けの皮は剥がれる。橋下氏はブレーンに高名な人事コンサルタントの山中俊之氏を迎え、成果に基づく人材作りを進めている。
口先で丸めこむだけでは通用しなくなる。橋下氏は“役人は敵”という原理主義者ではない。自分のことを好きでも嫌いでも構わないが、自分の政策を実現できる働く役人が良い役人と考えるプラグマティスト(実用主義者)なのでしょう」
1月16日に最高裁判決が出た「君が代不起立訴訟」では、「重い処分は慎重に考慮すべき」という判断が示された。教職員組合は「これで橋下氏の教育基本条例は潰れる」と意気上がるが、どうも橋下氏はあまり意に介していないようだ。橋下氏は共著書『体制維新―大阪都』(文春新書)で、こう記している。
〈君が代斉唱時に起立すべきか否かという思想信条の自由に関する問題ではなく、組織として決めたことは守りましょうという組織論〉
と考える。君が代を歌うかどうか、起立するかどうかではなく、職務命令を守れるかどうかで公務員の在り方を論じている。最高裁判決を受けて、「しっかり研究する」と述べたのも、教員の職務命令遵守を実現するための方策を練り直すための発言だろう。
※週刊ポスト2012年2月3日号