長引く円高や震災後の経済へのダメージにより、日本の活力が失われている昨今ではあるが、ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、皆が幸せホルモン・セロトニンを分泌する生活習慣を身につければ、日本経済もよくなると説く。
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僕は朝型人間。朝は4時半に起きる。朝陽が昇るのを待って、1回外に出て背伸びをしたり、スクワットなどの軽い体操をしてから、仕事を始める。これは人体の理にかなっていて、セロトニンの分泌を促してくれるらしく、調子はすこぶるいい。
内科医である僕は、メタボリックシンドロームの患者への対策として、食べ過ぎはいけないと注意している。しかし、ダイエットし過ぎてストレスになるくらいなら、ちょい太でもOKだと言っている。
たまにはご褒美でおいしいものを食べて「幸せだなあ」と感じる。仕事でストレスを感じたら、美しい景色を見て「わあ、きれい!」と感動する。これがセロトニン分泌の極意じゃないかと、僕は思っている。
セロトニンが分泌されていると、うつ病にならないだけではなく、なぜかフットワークも軽くなる。こんな人の回りには、たくさんの人が集まってくるようになり、いい人脈もできる。仕事もはかどる。みんながセロトニン分泌の生活習慣を身につければ、健康にもいいし、日本経済だってよくなるはずだ。背中を丸めて下ばかり見ていては、うつうつとしてしまうのも当然だ。背筋を伸ばして、できるだけたくさん息を吸ったり吐いたりするのが大事なのである。
※週刊ポスト2012年2月3日号