<M7級の首都直下型地震が今後4年以内に約70%の確率で発生する>
こんな試算をまとめたのは、東京大学地震研究所の研究チームだ。政府の地震調査研究推進本部が出している「30年以内に70%程度」という、首都直下を含む南関東の地震の発生確率と比べると、極めて高い数字。首都直下型地震がにわかに現実味を帯びてきたのだ。
政府の中央防災会議では、東京湾北部を震源とするM7.3の地震が起きた際の被害として、建物の全壊および焼失は約85万棟にのぼり、最大で約1万1000人もの死者が出ると想定している。
東日本大震災では、その被害の多くが津波によるものだったが、直下型地震の場合、危惧されるのは阪神・淡路大震災のような建物の損壊と火事だ。このふたつについては、家庭で行う対策で生死が分かれることになる。
危機管理教育研究所の代表・国崎信江氏は、こう語る。
「大地震から生き延びるには、“非常持ち出し袋”といった避難所生活を前提とした場当たり的な対策ではなく、避難しなくて済むように“災害に強い家”に住むことが大事なんです」
首都圏に住んでいる国崎氏だが、事実、非常持ち出し袋は最低限しか備えていない。国崎氏によれば、マンションなどを選ぶ際に重要なのは、まずは“土地”だという。
「どんなに丈夫な建物でも、その地面がもろければ、建物は災害に耐えられません。自治体が公表しているハザードマップや明治時代の古地図などを参考にして、その土地が以前どんな場所だったか把握しておくとよいでしょう。かつて海や沼地であったところは液状化の危険もあります」
インターネットで、町丁目別に地盤の強度をもとにした建物の倒壊リスクを公表している東京都をはじめ、多くの自治体ではハザードマップだけではなく、地盤の強さを公表している。しかし、それだけではわからないことも。
「斜面に作られた土地の場合は、『切土』か『盛土』かを確認したほうがいいです。斜面を平坦に削る『切土』ならよいのですが、斜面に土を入れて平坦にした『盛土』の場合は、しっかり固めないと地震の際に沈下したり崩れてしまうことがあります。建物の事業者や地元の不動産業者に聞くと、地図を見せてくれるでしょう」(前出・国崎氏)
※女性セブン2012年2月9日号