日本気象協会が2011年12月7日に発表した予測によれば、「スギ花粉前線」が示す飛散時期は、2月中旬に四国・東海・関東から飛び始め、例年と同じか少し遅い見込み。
一方、気になるのが飛散量。日本気象協会によると、例年より「やや少ない」「少ない」のは日本全国の3分の1程度。中国・近畿地方や東北太平洋側は例年より「多い」か「やや多い」が目立つ。また、関東・甲信は概ね例年並みとなっている。
近年まれにみる大量飛散となった昨年ほどではないが、「例年並みかそれ以上」と、用心するに越したことはない。さらに今年は、これまでにない特殊な花粉が飛ぶのでは、といわれている。福島第一原発事故に由来する“セシウム花粉”だ。
放射性セシウム花粉について首都大学東京大学院の福士政広教授(放射線安全管理学)は、次のように解説する。
「原発事故で発生した放射能雲は1000mに満たない高度で飛んでいった形跡があります。放射性物質は昨年の3月時点で青々と茂っていた葉っぱに付着、その葉の表面から吸収され、新芽や雄花・雌花にもセシウムが移行していると見られます。そしてその雄花から放射能を含んだ花粉が飛散する恐れがあるのです」
チェルノブイリ原発事故では周囲にスギなどの林がなく、一度山に定着した放射性セシウムが花粉に付着して再び街に戻ってくるのは、世界的にも初めての事態といえそうだ。
「風向きなどから考えて福島の花粉が首都圏を襲う可能性は低いものの、奥多摩や秩父の山から放射性セシウムを含んだ花粉が飛来する可能性は充分あります。ただし、雄花への移行時に放射能量は10分の1程度に低減し、さらに花粉への移行となれば限りなくゼロに近くなっていますので、内部被曝や外部被曝を心配するレベルにないことは明らかです」(福士教授)
ということなので、ひとまずは安心。しかし、今後も情報には注意を払っておきたい。
※女性セブン2012年2月9日号