ソフトバンクの「お父さん犬」や不二家の「ペコちゃん」などといえば、企業が考案した企業や商品のマスコットキャラクター。これらのキャラクターは、もともとは自社や商品のイメージアップのために作られるが、実際に人気が出てくると、キャラクターが独り歩きをし始め、会社名そのものよりも広く知られるようになるものもある。
たとえば、実際の企業と密接にかかわることはないように感じていても、「ヤン坊・マー坊」(ヤンマーディーゼル)、「のり平」(桃屋)、「チャルメラおじさん」(明星食品)のように時代をこえて長く愛されるキャラクターも多い。
そんなキャラクターは企業の“顔”ともいえるものだが、キャラクターたちが世に出た当初は“意外性”から話題になったものもある。先にあげた「お父さん犬」(ソフトバンク)は、当初その意外性からかなり話題となったものだが、すっかり定着。ダイワハウスの「ダイワマン」も同様だ。一方、パチンコホール『ダイナム』が作った「モーリーズ」という5つの妖精たちのキャラクターは、賑やかなイメージがあるパチンコホールのキャラクターとしては似つかわしくないほどほのぼのとした世界観を作り出す。どうして、パチンコホール会社が“ほのぼのキャラ”なのか――。ダイナムグループでモーリーズのキャラクター展開を担当している中村めぐみさんに話を聞いてみた。
「現在、ダイナムが経営する『ダイナム信頼の森』は、従来のパチンコホールの持っていた課題に取り組み、よりよいイメージへ変えるべく、全席禁煙、貸し玉料金も下げ、パチンコ機や店内設備から出る音量もできるだけ抑えて、もっと遊びやすいお店に!をコンセプトとして始めました。しかし、お客様に対して十分にそのホールの特長を伝えることはできていませんでした」
『ダイナム信頼の森』は全国に現在44店舗。しかしパチンコユーザーですら知らない人も多いのが実情だった。そこで知名度を上げるために考えたのが、企業キャラクターだったというわけだ。
「女性やパチンコ未経験のお客様に『ダイナム信頼の森』を知ってもらうには、今までとは違うアプローチが必要だという話になりました。そこで生まれたのが『森の妖精5兄弟 モーリーズ』です。緑色の森の妖精の『モリスケ』はリーダーとして信頼の森を伝える象徴、青色の水の妖精『クリン』はホールの空気がきれい、ピンク色の花の妖精『キャンディー』は景品が充実、黄色の光の妖精『ライト』は遊技台に詳しい、黄緑の妖精『アンナ』は初心者向けの案内係をイメージして誕生しました」(中村さん)
中村さんによると、5兄弟の登場以降、「あのキャラクターは何?」などと女性からの問い合わせが増えたほか、ブログなどで「こんなかわいいキャラクターがパチンコホールのものだとは知らなかった」といった反響が増えてきている。
「今後は、『モーリーズ』の活躍で、ダイナムグループだけではなくパチンコがさらにみなさんに愛される娯楽になれば・・・と考えています。」(中村さん)