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北朝鮮 金正恩を見捨て長男の金正男を担ぐ一派いる可能性も

金正恩の後見人として名前が挙がることの多い金正日氏の義弟・張成沢氏。彼はどんな人物なのか? 北朝鮮事情に詳しい龍谷大学教授の李相哲氏が、その張成沢について解説する。張氏は、金正恩個人を守ろうとする妻・金慶喜氏とは異なる考え方を持っているのだという。

* * *
張成沢は、金正日の妹である金慶喜と同じ1946年生まれの65歳。北朝鮮の国家安全保衛部や人民保安省、司法機関などを統括する労働党中央行政部長であり、国防委員会副委員長の肩書も併せ持つ。

ロイヤルファミリーの一員になって出世した面もあるが、我慢に我慢を重ねてきた苦労人でもある。これまで製鉄所に左遷されるなど何度も挫折を味わっては這い上がってきた。韓国の報道によると、公の場で金正日にビンタをされても苦笑いをして、その場をやりすごすなど、したたかな一面も持っている。

そんな彼にも弱点はある。自分の勢力を形成していないことだ。軍と手を組まないと何もできないというディレンマを抱えているのだ。軍の勢力は大きく2つに分かれている。1つは新勢力として台頭した李英鎬に代表されるグループ。もう1つは呉克烈に代表される旧勢力だ。今のところ張成沢は李英鍋と手を結んだように見える。将来、金正恩が使い物にならなくなった時、張成沢の意見が通るようになり、彼の方に権力がだんだん移動するという状況はありうる。軍も彼の実務能力を必要とするだろう。

さらに言えば、金正恩を切り捨て、長男の金正男を担ぐ可能性もないとは言い切れない。中国の経済政策を間近に見てきた金正男と組んで、改革開放にかじを切ることは十分考えられるのだ。

こう見てくると、当面は金正恩を支えていくと思われる金慶喜と張成沢だが、その立場はかなり違うことが分かる。大きく言えば、前者は金正恩個人を守り、金王朝を守ることに徹するだろうが、後者は北朝鮮という国家を守るためという名分が立てば、金正恩を最後まで守らなくてよい立場でもある。所詮、金一族と血のつながりはないから。

この二人の動向が北朝鮮の将来に大きな影響を与えるのは間違いない。

※SAPIO2012年2月1・8日号

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