昨年の3.11以降「家族の絆」が見直され、昔は当たり前だった親との同居=二世帯住宅に注目が集まっている。大手住宅メーカー「住友林業」では震災以降(昨年4~12月)の多世帯住宅(二世帯以上も含む)の契約数が、2010年度には全国で約8%だったのが、2011年度は約10%に。
東北・北海道エリアにいたっては約8%から約20%に上昇したという。「絆」以外に金銭的なメリットが大きいことも、二世帯住宅増加の理由だ。そんなに、二世帯住宅はお得なのか? 逆に悪い面は何? 二世帯住宅に関する疑問を解説する。
【親も子も「安心」で「お得」】
『絶対に後悔しない 二世帯住宅のつくり方』の著者で、一級建築士の山岸多加乃さんはこういう。
「新築するわけですから、耐震性や耐久性への不安が解消できます。また、老人世帯を狙った犯罪や病気、介護などの不安も軽減できます」
子世帯にとっては、家を建てる際、“土地”を提供してもらえることが多いため、低コストで住まいが確保でき、家計費を減らせるメリットが。
「子供の面倒をみてもらえれば共働きも安心してでき、子供の情操教育にも◎」(山岸さん・以下同)
【固定資産税が半額に!?】
二世帯住宅の登記には“区分”“共有”“単独”の3つがあり、なかでも各世帯が区分登記すれば、登録免許税、不動産取得税、固定資産税などに軽減措置が受けられる。
「しかし、この登記が可能なのは完全分離型のみ。二世帯住宅は建物面積が大きくなる傾向がありますが、区分登記をすれば、各世帯の登記面積で特例を受けられます」
例えば二世帯住宅全体の面積が240平方メートルの場合、完全分離型で120平方メートルずつ区分登記した場合には、固定資産税額が半分になる。
【人間関係は難しいテーマ】
「プライバシーの問題や世代による価値観のズレ、生活スタイルや子供の教育方針の違い、経済的負担の偏りなどでトラブルになりやすいのはデメリットですね」
【二世帯住宅は3タイプある】
家が2軒あるような完全分離型、玄関やキッチンなど家の一部分のみが別々の一部共有型、いわゆる同居に近い完全共有型の3タイプがある。
「“土地が狭いから完全共有しかない”などと決めつけず、生活スタイルの違いなどを熟慮して最適な間取りを選んでください」
【リフォームも可能】
「リフォームなら建て替えと違って仮住まいの費用が浮くケースも。また、こだわりたい部分に予算を費やせるという利点がありますが、工事単価は割高になります」
土地や道路の条件により、リフォームを選択したほうが、有利な場合もある。
※女性セブン2012年2月9日号