両国国技館では、ついに近年の歴代優勝力士パネルから日本人が消え、外国人力士が番付上位を独占する「占領状態」が続いている。どっこい、「面の皮の厚さ」が番付の決め手になる永田町場所では、次から次へと新しい日本人スターが誕生し、世界も驚く「国技」が隆盛している。
まず東の横綱は文句なしに岡田克也・副総理だ。「原理主義者」と呼ばれ、いかにも正直で筋を通す政治家のようにいわれているが、得意技は「引っ掛け」。
「年金の抜本改革に必要な財源は、今回の(消費税増税の)10%には入っていません。さらなる増税は、当然必要になります」
といってのけた。
政府は「社会保障のために消費税を上げる」と説明してきたが、実際は増税のうち社会保障を手厚くするために使われるのは2.7兆円(社会保障・税の一体改革成案)にすぎないと本誌は昨年10月の時点で指摘していた。増税の大半は役所の利権拡大財源として財務省が持って行く。
岡田氏は悪党としてもレベルが低いようで、それを白状してしまい、上手な八百長でごまかしてきた野田佳彦・首相以下、増税マフィアたちをズッコケさせた。
この際だから、大相撲の八百長を暴いた本誌が、永田町場所のインチキも改めて明らかにしておこう。
消費税5%アップによる税収増は年間ざっと13兆円。今年度の国の社会保障関係費は約29兆円だから、増税分をそっくり上積みすれば社会保障予算は年間42兆円になる。それだけあれば、岡田氏が「財源がない」と廃止した子ども手当を満額支給できるし、悪評高い後期高齢者医療制度も廃止できる。それどころか、最低保障年金(月額7万円)の創設も可能である。
しかし、“増税担当相”の岡田氏は国民のための政策を何も追加せず、「年金ほしけりゃ、さらなる増税」と開き直り、社会保障の充実に使われる金額は今も2.7兆円のままだ。
この人は昔から引っ掛けが得意技だった。
2009年総選挙の前、民主党が全国で配布した政策ビラにはこうある。自公政権の政策を〈2年後には大増税〉と批判し、民主党なら〈「子ども手当」の創設や「年金減税」の実施で(中略)可処分所得が2割増えます〉。当時、幹事長だった岡田氏はテレビ討論(『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系))で司会の田原総一朗氏から、「魔法のように感じるけど、できるんですか?」と聞かれて、「大丈夫です」ときっぱり答えた。
2年後、その岡田氏は、「誰が見てもできないことを、いつまでもできるというのは、まさしく国民に対する不正直だ」と述べてマニフェストを覆し、「年金減税」どころか「年金大増税」の先頭に立っている。
対する西の横綱はわれらが野田首相。本誌が前号で報じた3年前の「シロアリ演説」の映像は、YouTubeで30万アクセスの大評判を呼んでいる。この大一番は次ページに再掲した。
「シロアリを退治しましょう」と国民に持ちかけて家に上がり込み、自らシロアリをバラ撒いてから、「こりゃ大変ですよ、家がなくなっちゃいますよ、奥さん」と脅し、高額の駆除費用(大増税)をふんだくろうというのだから、悪徳シロアリ駆除業者の手口そのもの。
※週刊ポスト2012年2月10日号