65才以上が人口の23.1%を占め、4人に1人が高齢者という「超高齢化社会」が目前に迫る日本。高齢世代の行く末は、親の介護が視野にはいる40~50代にとっても頭の痛い問題だが、ネットが救いになっているケースがある。
都内で夫と小6の娘と暮らしていた44才の女性Aさんは、夫が地方に転勤することになった。同居していた74才の義母を連れていこうとしたが、かかりつけの病院を変わることや知らない町での生活が億劫だからと都内にとどまった。Aさんはそのときのことを次のように降り返る。
「ひとり残す義母のことが心配になり、パソコンと携帯電話を買いました。機械オンチの義母は『いらない』といいましたが、『メールと写真を見る方法だけ覚えたら孫の成長がわかるから』って押しつけた。その日からつきっきりで猛特訓しました(笑い)」
義母は頭痛薬と胃薬をのむほど神経をすり減らしながら、なんとか使い方をマスター。現在はほぼ毎日のようにメールのやりとりをしている。
「その日の出来事をお互いにメールで送り合うのが習慣になりました。同居していたときの食卓みたい。義母もいつも孫とメールのやりとりをするので、私たちと離れて暮らしている実感があまりないようです」(Aさん)
ある日、義母は携帯を持たず町内会の日帰り旅行に出かけた。事情を知らない太田さんが何度自宅に電話してもつながらなかった。
「すごく心配になりましたね。義母は帰りが遅かったようでその日はパソコンや携帯を見ずに寝て、翌朝、心配メールが10通以上はいっているのを見て慌てて連絡をよこしました(苦笑)。以来、義母は近所に出かけるときもメールで行き先を知らせるようになりました」(Aさん)
都内でひとり暮らしをする73才の女性Bさん(は、3年前、都内で別居する息子からパソコンを買い与えられ、こういわれた。
「母さん、これ覚えたほうがいいよ。家にいるときの気分転換になるし、スカイプいれるから顔を見て話もできるよ」
なんのことやらチンプンカンプンだったBさんだが、嫁と中2の孫が自宅まで教えに来るからと説得された。Bさんは次のように話す。
「みんなに会えるならいいかと始めましたが、70になると物覚えが悪くて本当に大変でした。何度教わってもどのボタンを押すのかわからないし、何で日本語をローマ字で打たなければいけないのかと腹が立った(笑い)」
3か月でメールが打て、スカイプで通話ができるようになった。いまではちょっとしたケガをデジカメで撮影して息子に送り、「こんな感じだけど、病院に行ったほうがいいかな」とメールで相談するまでになった。
「息子夫婦からは、『お母さん、パソコン始めてから若くなったね』といわれています」(Bさん)
※女性セブン2012年2月9日号