いよいよ明日、プロ野球春季キャンプがスタートする。キャンプ以前に行う自主トレーニングは、何人かの仲間で「合同自主トレ」を行なうのが近年のトレンドだ。
「キャッチボールするにも相手が必要だし、一人でグラウンドを借りたらカネがかかる。個人トレーナーや練習パートナーを雇える選手は例外ですが、若手選手の大半はこのパターンです」(スポーツ紙記者)
一般的には同じチームの野手同士、投手同士で集まるが、最もポピュラーなのはベテラン選手が有望な若手を誘うやり方だという。例えば、原辰徳・巨人監督は現役時代、伊豆・修善寺に岡崎郁、川相昌弘、吉村禎章、村田真一を集めて自主トレを実施。こうした組み合わせの場合、ベテランが全員分の経費を負担することが多い。
今年の巨人ではキャプテンの阿部慎之助が若手有望株の大田泰示を、エースの内海哲也は東野峻と沢村拓一を誘った。このスタイルには「チーム内の派閥づくり」という面があるという。巨人番記者が明かす。
「巨人の最大派閥は阿部。食事や滞在費はすべて阿部持ちだから、年俸の低い若手にとっては神様のような存在です。ガッツ(小笠原道大)派というのもあり、こちらには日ハム時代から仲のいい実松一成らが参加しますが、朝9時から夜6時までみっちり練習した上、夜は浴びるように酒を飲む。参加選手は序盤からヘトヘトになっています(笑い)」
若手選手から見れば、誰が誘ってくれるかで将来が左右されかねない。
「オフになると“誰が最初に阿部から誘われるか”で気が気じゃないはずです。金銭的なメリットはもちろんですが、原監督から信頼されるキャプテンの弟分になれば、シーズンに入ってからも何かと都合がいいと考えているのでしょう。
以前は高橋由伸も同じような派閥を率いて自主トレをやっていたが、近年の不振のせいかほぼ壊滅状態。若手にとっては、誰の自主トレに参加するかは大切な処世術なのです」(同前)
※週刊ポスト2012年2月10日号