昨年の3.11以降「家族の絆」が見直され、昔は当たり前だった親との同居=二世帯住宅に注目が集まっている。大手住宅メーカー『住友林業』では震災以降(昨年4~12月)の多世帯住宅(二世帯以上も含む)の契約数が、2010年度には全国で約8%だったのが、2011年度は約10%に。東北・北海道エリアにいたっては約8%から約20%に増加したという。
「絆」以外に金銭的なメリットが大きいことも、二世帯住宅増加の理由だ。夫婦と子供ふたり、祖父母を交えた6人家族の、別居の場合と二世帯の場合、20年間のトータルの生活費を、『絶対に後悔しない 二世帯住宅のつくり方』の著者で、一級建築士の山岸多加乃さん監修のもと女性セブン編集部で試算した。
●別居の場合
支出総額 7680万円(子)、5760万円(親)
住宅費 3600万円(子)、0円(親)
家賃更新費 150万円(子)、0円(親)
駐車場代 480万円(子)、0円(親)
妻の給料 0円(子)、0円(親)
計 1億1910万円(子、A)、5760万円(親、B)
(A)+(B)=1億7670万円(C)
●同居
支出総額 9120万円
住宅費 5400万円
家賃更新費 0円
駐車場代 0円
妻の給料 +3840万円
計 1億680万円(D)
1億7670万円(C)−1億680万円(D)=6990万円
二世帯のほうがお得!
仮に子世代は、家賃15万円の賃貸マンションに暮らす40代の4人家族(夫婦と子供ふたり)とすると、家賃の総額は3600万円。そして、平均消費支出は1か月約32万円(総務省家計調査報告より)で7680万円。それに家賃の更新が20年で10回とすると150万円。車の駐車場代が480万円あるとする(車両本体のローンはなしとする)。これらを合計すると1億1910万円(A)。また、70代の親夫婦の平均消費支出は5760万円(B)。持ち家で暮らしており家賃はゼロで計算。つまり、A+B=1億7670万円(C)が別々に暮らした場合にかかる金額となる。
一方、二世帯住宅の場合は、家族6人の平均消費支出は1か月約38万円を20年で9120万円。それに住宅費5400万円(上物代4500万円のうち、頭金1500万円で3000万円借り入れ、月々10万7000円、ボーナス時25万円×2回で、20年返済した場合住宅ローンは合計3900万円)。妻が再就職をして3840万円稼いだとすると、20年間の生活費は計1億680万円(D)となる。CからDを引くと6990万円、つまり二世帯住宅で暮らしたほうが20年間で約7000万円もお得ということになる。
では、実際に二世帯住宅を建てるとしたら、いくらかかるのだろうか。前出の山岸さんはこう話す。
「ローコスト住宅から、高級住宅まで住まいの建築費用は幅があります。例えば、坪当たり80万円で50坪の家を建築した場合、住宅設備機器も含めて約4000万円かかります。その建築費にプラスして諸経費を用意する必要があります」
また、家を建てるには、上物代以外のお金もかかることを忘れてはダメ。
「親の土地に二世帯住宅を建てる場合、上物の建築工事費以外に、現在の家の解体費用とその他諸費用が必要です」(山岸さん)
おもな費用は次の5つ。【1】建築のための費用【2】登記費用【3】住宅ローンを組むときにかかる費用【4】建て替えに必要な費用【5】税金。「建て替えに伴う解体費用や外構・冷暖房設備の設置により大きく変わります。諸経費の目安ですが、理想としては500万~1000万円は用意しておきたいところです」(山岸さん)。
※女性セブン2012年2月9日号