受験の厳しさばかりが話題になるが、世の中には、超難関校を涼しい顔で突破してしまう天才児たちが存在する。そもそも天才と一般人とでは、脳の仕組みが違うのだろうか。諏訪東京理科大学教授で脳科学者の篠原菊紀氏はこういう。
「脳の大きさや皺の数は知能とは無関係であることがわかっています。ただ、なかには画像的に記憶できるといった能力、視覚情報処理ネットワークが極めて活発で、強烈な記憶力を持っている人はたしかに存在します。
遺伝との関係でいえば、学業成績に遺伝が占める割合は40%、記憶力においては23%という研究があります」
一般に、脳科学の世界では「天才は遺伝する」とされるが、そのメカニズムには未知の部分も多い。また、学業面における「天才」と「秀才」の違いについて、「朝倉算数道場」塾長の朝倉仁氏はこう説明する。
「秀才には静かな子もいますが、天才は賑やかな子が多く、静かな子がいません。彼らは授業中はニコニコしていて、受験前でも悲壮感が全然ない。私が教えた塾生のなかには、開成中を受験するために上京し、試験前夜ずっとトランプやゲームをしていて、一睡もせずに受験してそのまま合格した子が3人います。そのうち1人は灘中にトップ合格しました」
また、女子では小4で朝倉氏の道場に入った時、すでに灘中に合格できるレベルに達していた子がいたという。
「その子は小学校の時に名古屋大学に招待され、研究室で携帯電話のメールを圧縮して転送する基礎を考えたんです」(朝倉氏)
※週刊ポスト2012年2月10日号