1月17日に第149回芥川賞を受賞した田中慎弥さん(39)の『共喰い』(集英社刊)が予想以上の売れ行きを見せている。受賞後に予約が殺到、27日の発売日を待たずに、その数10万部に達した。受賞会見での「もうとっとと終わりましょうよ」などの発言が話題を呼び、注目されたが、過去の芥川賞受賞作家にもひと癖もふた癖もあるこんな人たちが…。
「そろそろ風俗に行こうと思っていた」と発言したのは第144回芥川賞を『苦役列車』で受賞した西村賢太さん(44)。受賞連絡時にどこにいたかを質問された際に飛び出したこの発言で、一躍脚光を浴びた。同時受賞の朝吹真理子さん(27)が文学一家で育った大学院生だったのに対し、中卒で借金あり、逮捕歴あり、という対照的な経歴も話題になった。
また、第134回芥川賞を『沖で待つ』で受賞した絲山秋子さん(45)は「芥川賞は足の裏に付いたご飯粒」と、受賞会見で芥川賞が自分にとってどういう存在かを語ったなかでコメントした。その心は“とれないと気持ち悪いけど、とっても食えない”。書評家の大森望さんは「絲山さんは、芥川賞、直木賞合わせて5回目のノミネートだけに、恨み節というか皮肉の気持ちもあったんだろうと思います」と話す。
「わたしばかよねぇ」と歌った諏訪哲史さん(42)は、第137回芥川賞を『アサッテの人』で受賞した。受賞翌月の贈呈式で、挨拶もそこそこに「みなさん手拍子をお願いします」と突然細川たかしの『心のこり』を熱唱。「諏訪さんには群像新人賞の授賞式で『舟歌』を歌ってスベったという前歴があったんですが、その日も微妙な空気が会場に漂いました」(大森さん)。
そして、大森さんが「いちばんすごかった」と話すのは、第131回芥川賞を『介護入門』で受賞したモブ・ノリオさんの受賞会見。「マイクがズラーッと並んでいるところへ、登場するなり突然ダイブして、マイクを全部倒してしまったんですね。本人はウケをねらったんでしょうけど、各メディアの音声担当は、みんな舌打ちしながらマイクを直してました(笑い)」(大森さん)
※女性セブン2012年2月16日号