中国では昨年11月、宇宙空間で無人実験機「天宮1号」と無人宇宙船「神舟8号」のドッキングに成功したが、今年は中国人初の女性宇宙飛行士が搭乗し、有人宇宙船「神舟9号」および「神舟10号」に登場することが分かった。さらに、2基の宇宙船は「天宮1号」とドッキングするほか、宇宙空間で2週間過ごす予定だ。
中国政府筋によると、中国は2010年5月に第2回宇宙飛行士選考試験を実施し女性2人を含む計7人の宇宙飛行士候補を選抜した。彼らは現在、訓練を受けており、順調にいけば、今年中に宇宙船に搭乗して、宇宙遊泳などを行なうことにしている。
中国では2003年10月に初の有人宇宙飛行を成功させ、その後も2005年と2008年の秋にそれぞれ成功させているが、女性宇宙飛行士はまだ搭乗していない。
今年は秋に5年に1度の中国共産党大会が行なわれ、習近平・国家副主席が党総書記に選出されることがほぼ確実だ。同筋は「中国の最高指導部が交代する重要な年だけに、党大会の開催とあわせて、初の女性宇宙飛行士による有人飛行を成功させ、中国の国威発揚の場にしたいとの狙いが中国指導部にはある」と解説する。
さらに、今回の有人宇宙飛行では、再びドッキング実験を行なうほか、さらに2週間の宇宙滞在を実現させる予定だ。中国は昨年末、今後5年間で月への着陸と探査を成功させるほか、宇宙ステーション計画を推進するとしており、今回の宇宙滞在実験は、その重要なワンステップになる。
忘れてはならないのは、中国の宇宙飛行が純粋に科学的な目的ではなく、軍事技術にも転用されていることで、宇宙開発先進国の米国やロシアは警戒感を強めており、今後は軍事転用をにらんで、米中露3国による宇宙開発競争が激しさを増すことになる。