大阪国際女子マラソンを制した重友梨佐の登場で、お茶の間は盛り上がるが、24歳の新鋭の予期せぬ活躍は、そのまま選考レースの火種にもなりかねない。いかんせん、日本陸連が設ける代表選考基準は「五輪で活躍が期待できる選手」と依然曖昧なものである。彼女は女子マラソン界のシンデレラガールになれるだろうか――。
24歳の新鋭、重友梨佐。2度目のマラソン挑戦となった大阪国際で福士加代子らを退け、見事優勝を果たした。2時間23分23秒。日本陸連が基準とした2時間22分台には届かないが日本陸連の尾縣貢専務理事は、「日本の女子マラソンを引っ張っていく逸材」と高く評す。1984年ロス五輪代表で、現在はレース解説者の増田明美氏はこう語る。
「あんな一人旅ができるなんて肝っ玉が据わっています。彼女は感情の起伏が激しくないので調子が良いからといって興奮しないでしょうし、逆に悪くても落ち込まない。マラソン向きの性格です。自己主張が強くない分、私生活の中でもエネルギーを溜めやすい選手かもしれません。走りにも表われていて168センチという長身ですが、エネルギーは体の体幹に溜めこめるような無駄のない走りをします。あの走りは魅力的です」
運動部記者は、重友の内定は決まり、と言い切った。
「大阪が終わった時点で、陸連幹部は“名古屋が終わるまで優劣がつけられない”と慎重な発言をしていたがオフレコでは重友が最有力。あと2枠は空欄。順位をつけるとすれば、横浜国際で優勝した木崎(良子)、世界選手権で5位だった赤羽(有紀子)と話していた」
※週刊ポスト2012年2月17日号