NHKの女子アナには、中高年サラリーマンの隠れファンが多い。知性、アナウンス能力ともに民放とは段違いだからだ。
それには理由がある。NHKの女子アナは入社後まず地方局へ配属される。そこで優秀だと認められた者だけが、東京に呼び戻され、全国ネットの番組に出演できる。厳しい実力社会であり、我々の目に触れる女子アナは「ピラミッドの頂点」なのだ。さらにはテレビ黎明期から連綿と続く伝統が、彼女たちの「格」を押し上げている。
古くは1960年頃に活躍した野際陽子や下重暁子といった美人アナウンサーに始まり、「朗読の加賀美」と称えられた加賀美幸子、後に高額年俸でフジに迎えられる頼近美津子など数々の看板アナが登場した。
NHKの女子アナには、大きく分けて2つの系譜がある。「報道・キャスター型」と、ニュースのスポーツコーナーやクイズ番組の司会を務める「スポーツ・バラエティ型」だ。
「報道・キャスター型」なら桜井洋子が「中興の祖」だし、1990年代には「ニュースの森田」と呼ばれた森田美由紀がいる。今となっては女子アナだったと紹介するのもはばかられる小宮山洋子や、参院議員だった畑恵など、政界に転出した野心家もチラホラ。
※週刊ポスト2012年2月17日号