現在、国会で第4次補正予算案が審議中だが、その金額はなんと2兆5000億円に上る。しかしその中味は不要不急の事業のオンパレードだ。というのも財務省は増税のために「税収が足りない」といいながら、実際は、今年度の税収は当初予想より1兆1030億円も多く、国債の利払い費も1兆2923億円余った。歳出カットを合わせて合計約2兆5000億円の財源が浮いた。
しかし、そのまま余らせては、「財政危機で年金も払えない」というこれまでの嘘がバレてしまう。だから余ったカネも全部使ってしまおうというのが4次補正の狙いだ。
そうした思惑の中で、最も漁夫の利を得たのが、2年前に「財源難」で打ち切ったエコカー補助金(3000億円)の復活に成功した経産省だろう。
同省は当初、来年度予算で自動車重量税の廃止を要求し、自動車業界やトヨタ労組出身の古本伸一郎・民主党税調事務局長ら自動車族議員を応援につけて財務省との交渉に臨んだ。予算編成の大詰めでは、増税の旗振り役の藤井裕久・党税調会長までが税調の会議で「重量税廃止はオレがなんとかする」と味方についた。
しかし、財務省にすれば、増税路線と矛盾する自動車減税を認めるわけにはいかない。折衝は12月25日未明までもつれ、財務省は経産省に重量税廃止をあきらめさせるかわりに、4次補正でエコカー補助金を付けることを約束した。
「財務省との折衝で一番活躍したのが製造産業局の自動車課長。本気で減税を取りに行ったから、財務省の主税局幹部が『消費増税をぶち壊す気か』と怒って課長を出入り禁止にした。が、それで3000億円をとってきたのだから英雄だ」
経産省官僚のホクホク顔にはそうした事情がある。
※週刊ポスト2012年2月17日号