年間約30億円にものぼる外務省の機密費。元外務官僚で、話題の新刊『国家の「罪と罰」』(小学館)の著者である佐藤優氏が、その内示の一端を明かす。
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機密費であっても、国民の税金を原資とする公金だ。領収書などの関連文書が保管されているのは当然のことだ。ちなみに外務省報償費(外交機密費)は、外務省大臣官房会計課審査室に保管されている。審査室という名称では、何を担当しているかがよくわからないが、機密費に関する事務を取り扱う特別の部屋だ。
2001年に田中真紀子外相(当時)が、突然、この部屋を訪れ、「機密費関連書類を見せろ」と要求したことがある。審査室の事務官は抵抗して見せなかった。その後、外務省内はパニックになった。筆者も外務省幹部に呼ばれ、「誰が審査室に報償費関連の書類が保管されているという情報を婆さん(田中外相のこと)にチクったのか? 情報が入ってきたら教えてくれ」と言われた。
※『国家の「罪と罰」』より抜粋